交際スタート
「あはははは!流石ユキちゃん!それで交際するなんて初めて聞いた!」
次の日のホームルームが終わった時間、同じクラスで友達の冬ちゃんに昨日のお見合いの結果を話したら、案の定爆笑された。
「もー笑い事じゃないよ冬ちゃん。本当に綺麗で必死だったんだから…」
「それで写メは撮ったの?」
「うん、婚約者になるから遠慮せず撮って良いぞーって…」
そう言って私はスマフォを操作して、芦屋さんの写真を見せる。
「本当だ綺麗な人だねー、髪が黒曜石みたいに黒いのに肌が白粉つけてるみたいに真っ白」
「でしょー?これでお化粧してないって言うんだから凄いよね」
「それにしても凄い尻尾ね!」
「普段は1本の尻尾に収納してるんだって、でも黒い狐ってだけでも珍しいから人混みの中でも人が避けていくって言ってた」
「へー…にしても本当にユキちゃん、芦屋さんが好き何だね~」
「わかる?もー一目惚れよ~!」
「だってさっきから頭に咲いている花が、徐々にピンクに染まっていくもん。キレ~」
「え!?嘘っ!」
冬ちゃんに言われて慌てて手鏡で確認する。確かに私の頭に生えている花が3割くらいピンク色になっていた。
「芦屋さんが交際OKしたのも分かるなー、こんな綺麗な子が自分を見た途端に頭の花がピンク色に変わっていったら、見惚れちゃうもん」
「え?え?え?もしかして一目惚れだったのバレバレだった!?」
「もしかしなくても」
「ーっ!?」
冬ちゃんに言われて私は額を机に叩き付ける。そ…そうか!芦屋さんがラブラブな新婚生活は出来ないとか、自分の過去を突然話した理由…お見合いに来た思ったよりも幼い女の子が、自分に一目惚れしていると分かってるから、敢えて現実を突き付けて来たんだ!
「…1人で浮かれて馬鹿みたい」
「それでもOKしたって事は、相手も意識してくれたって事よ…それより気になったんだけど早乙女君は如何すんの?」
「え?何で早乙女?」
「あれ?付き合ってたんじゃなかったの?」
「違う違う!早乙女は友達!幼馴染み!でも本当に卒業後考えてないみたいだから、如何するんだろアイツ」
「今更だけど逆に何で早乙女の事、今でも友達だと思ってるの?」
「え?そりゃー小学校から結構女にモテてるのに無関心だからねー。恋愛感情お母さんのお腹の中に忘れてきたとしか思えないよ」
「自分が隣にいるからって思わなかった?」
「…中学の時に1度考えた事あったけど、試しにバレンタインの時に友チョコとしてお菓子あげたら『女みてー気持ち悪ー!』って嫌な顔されて以来、無い!と思った」
「…(そりゃ早乙女君が悪いわ)そのお菓子どうしたの?」
「勿論自分で食べたけど?」
「あらー…」
本当に失礼な奴だった。ムカついて頑張って作ったクッキーを、騒ぐ早乙女の目の前で口に放り込んでバリボリ食ってやったもんじゃ。ホッホッホッ。…あれからバレンタインの度にお菓子を催促されたけど、勿論渡していない。
私の事が好きだったらアイツの口から好きだって言葉聞いて、国から認めて貰える様に高校入学してから就職活動していたら、私も考えたのに本当に馬鹿…。
「そうだ、一応メールで知らせておこう」
「えーメールで!?そういう事は直接口で言ってあげたら?」
「何で?」
「(花人の誘拐を危惧して、学校のすぐ目の前に交番があるけど大丈夫かなぁ)…あれ?控えめで気付かなかったけど、その左手の薬指に嵌めてあるの婚約指輪?昨日の今日で買ってくれたの?」
「これ?芦屋さんの術で作った指輪だよ」
「術?」
「念の為に不審者は勿論だけど、一族の人が危害を加えてこない様にって…」
昨日の別れ際の事を思い出す、芦屋さんがポケットからリングケースを取り出したと思ったら、中には私の小指位の小さくて細い金の棒が入っていた。それを私の薬指に当てると金の棒が独りでに動いて、巻き付いたと思ったら境目の無い1つの指輪になっていた。
「スルスルーって蛇みたいに巻き付いて凄かったよー。それで私の身に何かあったら防犯の術が弾いてくれて、その間に察知した芦屋さんが駆け付けてくれるンだってさ」
「へー愛されてる~、それって取れないの?」
「残念ながら私でも無理で、芦屋さん以外は取れないって言われちゃった」
「へ、へー…(もしかして芦屋さんって過去もだけど愛も重いタイプ?)」
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