消えた動画

天川裕司

消えた動画

タイトル:消えた動画


(被害者男性の部屋)


警察1「この部屋の持ち主は彼1人だったんだな?」

警察2「ええ間違いありません。同棲はしてなかったようです」

警察1「なんにしても犯人を追う必要がある」

警察2「容疑者ですね?」

警察1「ああそうだが、この動画を見れば一目瞭然だろ」

警察1「この女の行方を追うぞ」


ある男が部屋の中で殺された。

包丁で滅多刺し。

その包丁には指紋がついていたが

指紋の持ち主は前科者ではなかったようで、

犯人特定には少し時間が掛かる。


警察がこの日追ったのは、

被害者が殺される直前に

撮っていた動画の中に写って居た女性。


「死ねえ!」の叫び声とともに

恐怖に怯えた男の声も入っていたが

その直後に男はやはりその女に刺され

この部屋に倒れていた模様。


それから急展開し、犯人がすぐ特定された。

しかし…


警察1「どう言うことだ…」

警察2「死体の犯行…って事になるんでしょうか…」


凶器の包丁に付着していた指紋の持ち主は

事件発生日から3日前に亡くなっていた。


しかしその女性が動画の中に映り込んで居り

その動画はSNSにも拡散されていた。


警察2「け、警部!見てください!」


しかしその拡散されたはずの

SNSに投稿されていた動画は消去されており、

もう見ることが出来なくなっている。

少なくとも、それまでに見ていた

不特定多数の一般ユーザーは、

その動画の存在を知り、

その動画に映ってた内容も知って居た。


警察1「…一体、何がどうなって…」


人知を超えていたその現象。

追求してみたが、

その動画がアップされた日時と消去された日時が

曖昧のままはっきりしない。

誰がどこでどう消したのか、

それが全くわからなかった。


被害者男性は生前、

その事件発生日から

3日前に亡くなっていたはずの

容疑者とされたその女性に対し、

ひどい事をしていたと言う事実が判った。

男女関係によくある

もつれの度を軽く超えており、

被害者男性は自分の欲望のために

その女性を食い物にして居た。


つまり2人は男女の関係にあり、

接点は確実にあったと言う事。


警察2「怨恨による…」

警察1「…いや、この事実はそれでも解消されない」


加害者であり、

なおかつ被害者となったその男性と、

有り得ない形で

その動画に映り込んでいた女性との

間でしか分からない、

当人同士の関係が引き起こした

不思議な事件。


この事件はその後、都市伝説化した。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=lAIIc0GJL-0

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

消えた動画 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ