『Konungariket Sverigeの空想少女/中田もな』
審査員A 7/7/4/3 21/30
審査員B 6/6/4/4 20/30
審査員C 8/5/2/5 20/30
61/90
【審査員A】21点
『文学少女を文学少女らしく、本や読書、創作を愛する姿を書けているか?』
⑦文学少女とは空想を愛する少女という観点から見れば妖精が見えると言うのは、実に文学少女的で、かつ他にはない視点からのアプローチだった。
『妖精が見える』というのが彼女の空想にしろ本当に妖精が見えていたにしろ、そうだった過去があることによって創作を愛していたことがわかるのが高く評価できる。
ただし、小説を書くこと空想をすることが好きだった点は良く書けているが、何故本が好きなのか、また大人になった今現在も本が好きなのか否かという部分が描き足りないと感じた。
『作家、もしくはそれ以外の道を選ぶ理由、バックボーンを掘り下げられているか?』
⑦作家にならない理由は丁寧に書かれていたが、小説を書かなくなった理由がメインで何故IT系の仕事を選らんだのかという点がわからないのが残念だった。
文学少女が文学少女でなくなる瞬間を描くという点は物語の見せ方、切り口として本来ならばとても評価できるが、これでは物語の最後に『文学少女ではなくなてしまう』ことになる……今回のコンテストの趣旨として、若干ズレる点が加点できない要因になってしまった。
『文学少女に対して『癖』を込められているかどうか』
④妖精が見えるという点、また妖精を登場させるにあたり舞台を北欧諸国にした点が高く評価できた。
『文章、ストーリーが魅力的かどうかなど、その他の加点要素』
③文学少女に『妖精が見える』という要素を使ってアプローチをするという一点がとにかく素晴らしかった。
ただ、大人になった彼女が読書から離れているという点と、彼女が創作をやめ、文学少女ではなってしまったと受け取れる文章が出てくる点がかなりマイナスの要因になってしまった。
例えば、大人になっても『創作はやめたが、それでも本を読むのはやめなかった』と書いていたり、あるいは作品の最後に登場する「……くっだらない」という台詞があるが、これを妖精のセリフということにして『そんな声がどこかから聞こえた気がした』と書くだけで、まだ心のどこかで創作や本を愛する心が残っていると感じられてこの作品の評価はぐんとあがったように思う。
あるいは、創作はやめたが本を読むことはやめていないという描写を足すことで、最後のセリフを「でも、まだ本を読むのは好きなんでしょう?」のようなセリフにすると、よりコンテストの趣旨に即した120点の作品になり、間違いなく今回のコンテストの優勝を勝ち取っていたように思う。
しかし、加点できなかった、コンテストの趣旨からずれていたというだけで作品として非常に高く評価できた。
【審査員B】20点
『文学少女を文学少女らしく、本や読書、創作を愛する姿を書けているか?』
⑥なにが主人公を創作や読書に駆り立てたのかは明かされていない。しかし空想の存在、妖精の実在があるうちは、そこに熱が通っていたのだろうとわかる。
『作家、もしくはそれ以外の道を選ぶ理由、バックボーンを掘り下げられているか?』
⑥幼年期の終わり、全能感の喪失によって妖精を否定したことが作家への道を閉ざし、現代に至る理由とされている。世界が色褪せて見えたのは、才能の枯渇か、精神が滅入ったからか、理由は推察するしかないが、主人公は間違いなく筆を折った。
『文学少女に対して『癖』を込められているかどうか』
④文学への愛情が高じて妖精という存在と触れあうようになる、そういった神秘的、もしくは超常的なシャーマンとして世界のエネルギーを受け取り描写することが作家に求められているのではないか、というような主張を感じられる。それは間違いなく、文学少女に対する癖だろう
『文章、ストーリーが魅力的かどうかなど、その他の加点要素』
④あえて時系列を混線させることで、読者に幻惑感を与え、妖精という存在、また所在地がスウェーデンであることを飲み込ませている。異境の地と幻想の存在を押し通す手腕として巧み。
【審査員C】20点
審査員C 8/5/2/5 20/30
『文学少女を文学少女らしく、本や読書、創作を愛する姿を書けているか?』
⑧とても文学少女らしく書けていたと思う、が…あの書き方では最終的に「文学少女」ではなくなって居たので趣旨から外れてしまっていたように感じる。
過程は本当によく描かれていたのでこの点数とさせていただいた。
『作家、もしくはそれ以外の道を選ぶ理由、バックボーンを掘り下げられているか?』
⑤作家にならない理由をプラスの理由で描いている方が私は好きだった。前述の通り、かのじょは最終的に文学少女ではなくなっていたので「文学少女が作家以外の道を選ぶ理由」からは少し趣旨が外れていたように感じた。
『文学少女に対して『癖』を込められているかどうか』
②本当に。彼女が最後に文学少女ではなくなってしまったせいで全てに減点せざるを得なかった…非常に無念である。
『文章、ストーリーが魅力的かどうかなど、その他の加点要素』
⑤文章もよく書かれていたし、スルスルと読めた。ストーリーも面白かった。私程度では文句のつけようがない出来だった。
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