『聖なる夜に御伽噺より、祝福を込めて讃美歌を/葉月めまい』

審査員A 7/5/3/4 19/30

審査員B 8/8/4/3 23/30

審査員C 8/4/5/4 21/30

63/90


【審査員A】19点

『文学少女を文学少女らしく、本や読書、創作を愛する姿を書けているか?』

⑦中二病を患う妹の物語に対する想いをめんどくさく、重く、コミカルに描けていた


『作家、もしくはそれ以外の道を選ぶ理由、バックボーンを掘り下げられているか?』

⑤作家にならない理由は存分に描けていたが、何故VTuberになったのかという理由が描けていなかったように思う。

また、作家にならない理由を強い思想と共に語った妹が、VTuberという実はかなりクリエイティブな一面を持つ選択肢を選ぶことに違和感あがった。

彼女の頑なさは、読み手であり続けることでより輝いたのではないだろうか?


『文学少女に対して『癖』を込められているかどうか』

③インパクトのある思想を持たせたことが加点要素だが、兄のような濃い設定が妹になかったことが悔やまれる。


『文章、ストーリーが魅力的かどうかなど、その他の加点要素』

④2000文字という短い文字数の中で、二人のキャラクター性や現代ファンタジーのような設定が濃く描かれており好印象。

一方で、この作品は『文学少女』をテーマにした作品としてすごかったかというと少々疑問が残る。この物語は言ってしまえば妹がいなくても兄とイマジナリーフレンドのエルだけでも回せたのではないか?

幻詩とエルの物語にサブキャラクターとして妹の夢伽が登場している感が拭いきれなかった……逆説的に主人公の性別が女性で姉妹の話にしていればもう19点ではなく26点くらいの点数をつけていたと思う。



【審査員B】23点

『文学少女を文学少女らしく、本や読書、創作を愛する姿を書けているか?』

⑧厨二病でありながら、自身の主観による観測を念頭より除外するほど強く(これは後述する詠唱のギミックに必要なことである)、物語に対する崇拝性を抱いている。

また、現実が終わるなどとは露とも考えていない精神性から導き出されるヴァーチャルな存在として物語性を語り継ごうとする姿は、これ以上無い愛情の発露と言える。


『作家、もしくはそれ以外の道を選ぶ理由、バックボーンを掘り下げられているか?』

⑧現実(この場合は自身の主観による連続的で不断な、物語ではない醜いものをさす)よりも物語を愛するからこそ、その語り部として仮想現実の存在を選択しており、それによって物語を詠唱し続け、永遠性を付与しようとしている。

妹本人の流行への多感さ、年齢相応の思考と合わさって、短いながら深い掘り下げだと考えられる。


『文学少女に対して『癖』を込められているかどうか』

④とにもかくにも物語至上主義者であり、現実のために物語が存在するのではない、現実に物語は奉仕するべきものではないと切って捨てるさまはお見事。


『文章、ストーリーが魅力的かどうかなど、その他の加点要素』

③虚構による現実の侵蝕というテーマによって、架空現実の存在となった妹が現実の語り部と成子とでそこに価値を見いだそうとする逆位相で、文学少女たる妹の存在さえも兄が創作した虚無である可能性が出てくることで、逆説的に文学少女に希少性を付与している手際の巧みさを評価したい



【審査員C】21点

『作家、もしくはそれ以外の道を選ぶ理由、バックボーンを掘り下げられているか?』

⑧作者の思う文学少女が良く書けていたと思う。が、創作は愛していたのだろうか…と言う疑問が残ったので少し減点した。

私はこの企画を通じて、文学少女には創作を愛した上で創作しない道を選んで欲しいんだ。


『文学少女に対して『癖』を込められているかどうか』

④こちらも作家にならない理由は描かれているが、作家以外の道を選んだ理由の深掘りが欲しかった。なぜこの文学少女は作家を選ばずに仮想的配信者になったのだろう…個人的に、この少女の感性で仮想的配信者になるなら、作家を選びそうだなと感じてしまったのでこの点数とした。私の中でこの少女は、永遠に読み手で居続けるだけな方が違和感無く読めたかもしれない。


『文章、ストーリーが魅力的かどうかなど、その他の加点要素』

⑤とても個性的で癖のある文学少女を描けていたと思う。私は好きだ。


『文学少女を文学少女らしく、本や読書、創作を愛する姿を書けているか?』

④文章については私程度が介入できる要素はなかった、とても良く書けていると思う。ストーリーに関してだが、私はこの兄妹、どちらも女の子にして姉妹にしたほうが今回の企画には合っていたんじゃないかと思ったのでこの点数とした。

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