第7話 春風の歪んだ過去
☆
計算が崩れている。
だけど私は「まあインシデントは起こりうるものだしね」と思いながらお兄ちゃんの居る教室に向かう。
そして声をかけるとお兄ちゃんは直ぐ来た。
私は「?」を浮かべながらお兄ちゃんを見る。
「何だかお兄ちゃん雰囲気が違うね」
「...ああ。まあな」
「...どうしたの?」
「春風。...俺はあくまでお前とは付き合えない」
「...?」
「お前は...俺と付き合う為にこんな真似をしているのか」
そう言われた。
私は「...いや?違うけど」と否定をする。
だけどお兄ちゃんは「嘘は言わなくて良い。本当の事を言ってくれ」と言う。
その言葉に私はお兄ちゃんを見据える。
「...嘘って?」
「お前は俺と付き合いたい為にこうしているんだな?」
「...誰かに吹聴されちゃった?私は...そんな気は無いよ」
「じゃあ一体何で長門はあんなに恐れていたんだ。関係ない筈のお前を」
「...さあね」
それから私はお兄ちゃんを見る。
余計な事を吹き込まれた様な感じだ。
私は静かに背後を目線だけで見る。
そして...私は下崎先輩と目が合った。
成程ね。
「...お兄ちゃん。私は何もしてないよ」
「何もしてないって言葉が信じられないんだが」
「仮に私が何かをしたとして証拠があるの?」
「...長門とまた話をしたらしい」
その言葉に私は「は?」となる。
私は「...それはどういう意味?」と眉を顰めて聞く。
するとお兄ちゃんは「あの後、下崎さんが長門さんから聞き取りを行なって。今に至っている。所々にお前らしき影が見つかったらしくてな。...お前は...何らかの関係性を作り人を操っているんじゃないのか」と言葉を発した。
「...何でお前はそんな真似をする様になった。あくまでそれならお前は手を汚さずに済むが...汚い」
「...それでどうするの?私を」
「...俺はお前を改心させる」
その言葉に私はお兄ちゃんを見る。
それから私は「...それは無理だね」と言う。
そして私は「私は元から正常だから」と答えた。
「...お前の性格が出来上がったのはお前の父親の虐待のせいか」
「...」
「幼い頃の虐待のせいか。お前は...心に傷を抱えて...」
私は「お兄ちゃん。それ以上は...止めて」と耳を塞ぐ。
それからお兄ちゃんは「っ...」となってから私を見てくる。
心臓がバクバクと跳ね上がり。
そして...あの痛みの光景が蘇る。
「...だからもう止めろ。お前の...そのやり方は。止めてくれたらお前の事も考える」
「そう言って私を選ばないでしょ。お兄ちゃんは」
「無理だって。こんな無理矢理は」
「...無理?私に無理は無いね」
「俺は理解している。...お前のその願いは叶わない」
「...」
発作を抑え込みながら私はお兄ちゃんを見る。
そして冷や汗を拭う。
私は...静かにお兄ちゃんを見る。
お兄ちゃんは「...お前のその事は...俺は分かち合う事にしたんだ」と言う。
「...お兄ちゃん。これを誰かに言ったの」
「本当の事は言わず半分だが。...下崎さんと分かち合う事にした」
「...」
「...俺1人じゃお前を制御出来ない」
「制御?...私は何で制御されないといけないの?」
「お前のそれは暴走だ。...頭の中がな。...いつか悪い方向にいきそうな気がする」
「...」
そして心配そうな顔の下崎先輩が来る。
それから「...そういう事」と言う。
私はその言葉に「...私はこのままでも大丈夫だよ。正常だから」と言う。
するとお兄ちゃんは首を振る。
そうしてから私を見た。
「...お前は正常じゃないと思う。今の思考は」
「...」
私は静かにお兄ちゃんを見る。
それから私は盛大に溜息を吐いてから踵を返す。
そして「...また後で」と言ってから歩き出す。
そんな私にお兄ちゃんが「...お前から良い返事を待ってる」と言った。
「...良い返事...」
「そうだ。...今のお前なら...きっと」
「...」
そして私は歩き出す。
それから「...はぁ」とまた溜息を吐く。
私は狂ってない。
そう。
あの男のせいだから。
私は狂っているんじゃない。
あくまで私は...。
「...私はお兄ちゃんが好きなだけなのに何故?」
私はそんな疑問符を投げかける。
だが答えは当然帰ってこない。
その事に私は...額に手を添える。
そして私は歩く。
☆
アイツと初めて会ったあの日。
当然だがアイツの目は死んでいた。
ただの警戒している...獣だった。
だけど俺はそんなアイツに優しくした。
そしたらいつの日かアイツは俺に心を開いてくれたのだ。
俺は幼い頃だが覚えている。
アイツが幼稚園の途中で俺に対して「すき」と言ったのを。
「...」
懐かしい記憶だな。
そう思いながら俺は「...」となってから窓から外を見る。
それから教科書を準備した。
すると高倉が「...妹さんとは分かち合えそうか」と聞いてくる。
「...さあな。アイツがどう考えを改めるかだな」
「俺としては変わると思うけどな」
「...そうか」
高倉は笑みを浮かべて俺を見る。
俺はその言葉に苦笑しながらまた窓から外を見る。
アイツには変わってほしいものだが。
どうなるか...。
俺の5人目の彼女。男に寝取られたのだが...それと同時に義妹の様子がおかしくなった アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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