第6話 うーん?

何かが...起こっている。

そう考えながら俺は考える。

しかし答えは出ないまま...その日は険悪なまま翌日を迎えた。

アイツが何かを仕掛けてくるかと思ったんだが何も起こらなかった。


「...」


翌日になって先に春風は登校している事に気が付いた。

俺は朝食を食べてから準備をして家を施錠して出る。

それから俺は歩いていると「椎葉くん」と声がした。

顔を上げると下崎さんが居た。


「...ああ。下崎さん。おはよう」

「おはよう。...顔が暗いね?」

「...まあ...色々あって」

「...そうだね。確かにね」

「昨日の事がな。...まあ...そうでは無いと信じたいけど」

「...そうだね...」


そして俺達は登校する為に歩道を歩く。

すると下崎さんが「その...」と聞いてくる。

俺は「?」を浮かべて下崎さんを見る。

下崎さんは「...」となって俺を見ていた。


「椎葉くんは...この先どうするの?」

「...そうだな...下手な真似が出来ない様にするしかないかな。...アイツを監視するとかなのかな」

「...うん」

「...もしこの浮気が本当に仕組まれたものだったらだいぶショックだ」

「だね...」


下崎さんは俺の目を真っ直ぐ見てくる。

俺はその姿に「...行こう」と声をかける。

それから歩いてから学校に登校する。

すると校門前を清掃している人物が居た。


「よお。高倉」

「...お。来たか。おはおはだな」

「朝の清掃、手伝おうか?」

「いや。俺の手腕が試されている」

「また訳が分からない事を言うな...お前」

「まあ要はこの掃除で成り上がりたいんだ」

「最低だなお前」


高倉は苦笑しながら俺を見る。

俺はその運動着姿の高倉を見つつ「...邪魔しちゃ悪いな。また後でな」と声をかけてから歩く。

すると高倉が「待て」と言って俺を引き止めた。


「...お前、悩み事か?」

「悩み事?」

「そうだな。...お前らしくない悩みを抱えている様に見えるぞ」

「お前は超能力者か?...よく分かったな。凄いな」

「まあこういうのは察するのが得意だからな。友人となれば尚の事」

「やれやれ。...お前には何も隠し事が出来ないな」

「エッチな悩み事だったら乗るぞ。相談に」


女子が居るのに何を言ってんだコイツ。

そう思いながらも...そんな高倉に「実はな...」と切り出す。

それから今まで起こった事を全部告げた。

すると「そんな事があるなんてな」と真剣な感じで聞いてくれた。


「ああ。だから衝撃なんだ」

「...そりゃそうだろうな...俺もビックリするよそんなの」

「俺が好きってのは分かるが片っ端から倒す様な感じで怖くてな」

「...そうだなぁ...」


高倉は箒の柄を顎にくっ付けてから考え込む。

それから悩む様にしながら「うーん...お前の事を譲りたくないんだろうな。乳離できない子みたいな?」と言う。

俺はその顔を見ながら顎に手を添える。

すると高倉は苦笑した。


「...正直、そんな我儘じゃ通らない...っていうかお前の義妹すげぇな。...俺にも義妹は居るけどそんな俺に夢中とか無いし」

「ああ。そういやお前にも美少女の義妹が居たな」

「居るけどナイナイだぞ。恋愛とかありえない。そもそも向こうが俺の事を嫌っているしな」

「ああ...そうなんだな」


俺は苦笑しながら高倉を見る。

高倉は箒の柄から顎を離してから「まあ...端的に言ったら変革するしかないんじゃないか?」と結論を述べる。

俺は高倉に向く。


「...俺は...兄妹間の恋愛。しかも義妹というものがよく分からん。だが簡単にいえば多分...解決法は分かりあう事だと思う。...それしかないと思う」

「...彼女に振られたお前に言われると説得力あるな」

「そうだな。俺は分かりあう事が出来なかったしな」

「...高倉くんは...誰かに振られたの?」

「そうだな。...まあ下崎みたいな良い子だったよ。...だけど振られた」


そして苦笑いを浮かべる高倉。

俺はその姿を見ながら「...」となってから箒を左右に動かす高倉を見る。

そうして高倉は箒を回転させてから「...じゃあ戻るから」と言う。


「高倉」

「おう?何かね?」

「サンキューな」

「...俺は何もしてないっていうか人生論述べただけだぞ。割とマジに」

「そう言うけどお前はモテるよ。そういうの」

「皮肉かよ。...まあ...受け取っておくわ」


それから俺は高倉に挨拶をしてから昇降口に向かう。

そして俺は下崎さんと一緒に靴箱から上履きを取り出した。

そうしてから俺は下崎さんと一緒に教室に向かう。


「...椎葉くん」

「...ん?」

「...私、貴方に協力したい」

「協力?...何を?」

「...貴方の悩みに貴方を好きな人として寄り添いたい」

「は?...いやしかし...それは...」

「うん。無謀かなって思う。...だけどもうこれ以上、犠牲を出したらいけない」


そして下崎さんは階段で俺を見る。

俺はその言葉に「...」となってから下崎さんを見てから考える。

しかし俺は下崎さんを巻き添えなんかにしたくない。

そう思えるのだが。


「...有難いけど止めとく。...頼るのは。犠牲になるのは家族だけで...」


すると下崎さんは階段を登った。

それから俺の手を握ってくる。

首を振った。

そして俺を真っ直ぐに見る。


「お願い」


そう一言強く言われた。

俺はその言葉に下崎さんを見た。

そして俺は...。

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