第2話 制御


うーん...。

俺はそう悩みつつ考えながら廊下を歩く。

それから俺は呼び出された職員室に行ってからプリントを届けた。

そして俺は教室に戻ろうとした時。

春風がやって来た。


「...春風?どうした」

「いや。お兄ちゃんの姿が見えたから来たんだ。...大丈夫?」

「大丈夫だが...少しだけ感情は調子が悪いな」

「それって浮気された事が?」


俺の顔を覗いてくる春風。

そうでは無いのだが...悩みの原因は目の前に居る。

とは言ってもそれを言ってもどうしようも無いし妹を疑うのもな、と思い。

俺は首を振ってから笑みを浮かべた。


「いや。大丈夫だ。...お前の顔を見たら元気になったよ」

「本当に?」

「ああ。...ありがとうな。春風」

「...なら良いけど...何かあったら言ってね」

「そうだな。その時は必ず」

「...うん」


そして俺は春風と一緒に歩き出す。

すると春風は少し歩いてからこう切り出した。

「お兄ちゃんはこれでも女性と付き合うの?」という感じで、だ。

その言葉に俺は春風を見る。


「彼女は憧れるんだ。...何か共依存なのかもしれないけど。...だけど憧れる」

「...」

「...まあマイナスにはならないよ。...もしかしたら縁が無かっただけかもしれないしな」

「...そうだね...」


春風の顔がやけに暗い気がするが。

何故か分からない。

俺は「?」を浮かべながら春風を見る。

そしてチャイムが鳴った。

俺達はそのまま教室に戻る。



放課後になった。

俺は高倉に後は任せた。

アイツは掃除当番なので、だ。

9月の少しだけ肌寒い廊下を歩きながら俺は窓から空を見る。

まあ何というか縁が無かったっていうのかそういうもんだ。


「...」


すると背後から「あの」と声がした。

俺は振り返る。

そこに居たのは肩までの長さの髪の毛の女子。

とても可愛い女子だった。


俺は「...ああ。下崎さん」と言う。

下崎彩奈(しもさきあやな)さんだ。


「...その。大変だったね」

「...大変だったねっていうのは?もしかして俺の恋愛の事?」

「そう。...どんなに付き合っても...嫌われちゃうから...」

「...そうだね。...まあでも...もう縁が無かったって思うだけだよ」

「...」


下崎さんは俺を見ながら言葉に詰まっている。

俺は「?」を浮かべながら下崎さんを見る。

すると下崎さんは俺の目をまっすぐに見てきた。

俺は首を傾げて「???」を浮かべる。


「どうしたの?」

「...いや。ごめん。何でもない」


そしてそのまま黙ってしまう。

それから踵を返した。

そうしてからそのまま去って行く。

俺は「...」となりながら下崎さんを見送る。


「...可愛い所もあるんだな」


そう思いながらそのまま歩き出す。

それから一階に降りて行く。

下駄箱から靴を取り出してそのまま外に行く。

目の前の校門に春風が居た。


「春風。お待たせ」

「うん。お兄ちゃん」

「...大丈夫か?さっきは顔が暗かったが」

「大丈夫だよ。...まあさっきの事はさっきの事で」

「あ、ああ。なら良いが...」


それから俺は歩き出す。

すると「ねえ。お兄ちゃん」と春風が切り出した。

俺は目線を春風に向ける。

春風は笑みを浮かべている。


「...あの女の子と親しいの?」

「あの女の子?...ああ。下崎さん?彼女は...そんなんじゃない。...1年の頃から振られていた俺を見ていたんだ。だから仲良くなっただけっていうか」

「...そう」


春風の雰囲気が何かおかしいのだが...気のせいか?

すると春風は満面の笑顔になってから首を振る。

それから「うん。分かった」と言ってからそのまま目の前を見る。

そして歩き出した俺達...。



お兄ちゃんと私の関係に邪魔だ。

そう思いながらお兄ちゃんの話を聞いていた。

お兄ちゃんは良い性格だからモテる。

だけど私のお兄ちゃんは渡さない。

考えながら私は下崎さんという女子をどうするか考えていた。

たかる蝿はどうにかしないと。


「...やれやれ」


私はそう言いながらお兄ちゃんと一緒に帰宅する。

それから私は考え込む。

正直...邪魔。

思いながら私はノートを広げる。

そこには私達の関係図がしっかり描かれている。


「...」


お兄ちゃんに蟻の様にたかるものは全部、消去しなくてはならない。

今も昔もそうしてきたから。

私が認められるまでお兄ちゃんの周りは私が制御する必要がある。

あくまで私だけを見てほしい。

私だけを認めてほしいのだ。


「お兄ちゃん。悪いとは思わないでね。...私はあの日から。あの日からお兄ちゃんが大好きなんだから」


そう言いながら私はノートに下崎という名前を書く。

それから私は薄目になりながら下崎という名前の少女の周りを調べる事にした。

私だけだ。

あくまでお兄ちゃんの横に立つのは。

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