俺の5人目の彼女。男に寝取られたのだが...それと同時に義妹の様子がおかしくなった

アキノリ@pokkey11.1

第一章 私は決して諦めない

地割れ

第1話 天地反転

椎葉透(しいばとおる)。

容姿端麗とは言わないもののそこそこの容姿。

そして勉強熱心。

そんな俺を見てくれて好きになってくれる女子が居た。

だけど。


「...また...かよ...クソ」


そんな事を言いながら俺は落ち込む。

県立高校の校庭の近くの中庭。

俺は酷く落ち込んでいた。

その理由は簡単。


付き合っていた5人目の彼女が寝取られたから。


「...5人目だぞ。ありえない。天文学的にもありえないだろ」


美少女だったせいか?5人が全員。

じゃあ次は...普通の女子と付き合ったら良いのか?

そんな事を思いながら俺は授業の時間の問題で立ち上がってからチャイムが鳴る前に教室に帰ろうとした。

すると目の前に後輩の女子...じゃない。

義妹の椎葉春風(しいばはるかぜ)が顔を見せた。


長髪の黒髪。

そして笑顔が似合うアイドルみたいな女子。

俺とは顔が似てない。

当たり前だけど。


とても可愛らしい小顔の女の子だ。

そんな春風を見ながら俺は「どうした?」と聞く。

すると春風は「聞いたよ。お兄ちゃん。また浮気されたの?」と言ってくる。

俺は複雑な顔をしながら答える。


「まあな」

「...うーん。お兄ちゃん。もうさ。私と付き合わない?」

「前も言ったけどそれは駄目だろ。俺達はあくまで血が繋がって無いとはいえ」

「...」


春風の顔が一瞬だけ曇った気がするが。

直ぐに明るくなる。

実は俺は春風に10回ぐらい告白されている。


これまでにずっと。

幼稚園の頃からずっと。

だけど俺は否定している。

何故なら俺達はあくまで兄妹だ。

だからにつかわしくない。


「...俺はあくまでお前とは付き合えない」

「キスもした」

「...そ...それは...幼稚園の頃な」

「...何で私と付き合ってくれないの?」

「だから...」

「私はいつでも妹という項目を捨てれる」

「そういう問題じゃない。倫理的にマズイって話だ」

「だから何で?血が繋がってない」

「ないとは言ってもな...」


何と説明したものか。

そう思いながら俺は春風を見る。

春風は一歩、歩んで来る。

そして俺を見上げてきてから...潤んだ目をする。

10センチぐらい身長が違うから...お似合いのカップル...と見えても過言では無いと思うが。


「...駄目だって」


俺は否定しながら春風を離す。

それから俺は「戻ろう」と言う。

すると春風は俺の腕に腕を絡ませてくる。

これも兄妹のスキンシップだが...正直もう止めてほしい。

だって女の子だ。


「...年頃の女の子だぞ。お前は。...もう止めよう。そういうの」

「嫌だ。これだけは欠かせない」

「...全くな」


ウェディングロードでも歩くかの如しだが。

俺はあくまで義妹と付き合う気は無い。

何故なら義妹は義妹だ。

あくまで妹だ。

倫理的にマズイと思う。


「お兄ちゃんが私を選ぶまで...」

「?...何か言ったか?」

「ううん。何も」


俺は盛大に溜息を吐きながらそのまま外を見る。

それから教室の前で別れてからそのまま俺は椅子に腰掛ける。

するとクラスメイトがやって来た。

友人の高倉洋(たかくらよう)が手をパキパキ鳴らして俺を見ている。

逆三角形の目をしている。

短髪のそばかす男。


「義妹さんとイチャイチャしやがって...貴様という奴は」

「あのな。高倉。聞いてくれ。また浮気された」

「...え?またか?」


高倉は元に戻る。

「はぁ?」とクラスメイトは言う。

その中で高倉が聞いてきた。

「お前よっぽど運が無いんだな」と苦笑しながら、だ。


「...何というか...運が無さすぎてな」

「...で?...5人目が寝取られたのは...どういう姿を見て?」

「ラブホに男と2人で入って行った」

「あちゃー。哀れみを覚えるぜ」


そして高倉は嬉しそうに額に手を添える。

このアホぶっ殺す。

そう思ったけど今はまあそんな気力も無い。

するとクラスメイトの佐藤が「なあ。いくら何でも運が悪すぎないか?」と言った。

高倉は仰け反った体を前に戻した。


「確かにな。...だって1年だろ?その間に5人寝取られた?まあ普通の天文学的にありえないわな」

「...運が悪すぎるって事だろ」

「いやいや。それで済ますな。...これって陰謀じゃないか?」

「...いや。まさかな」

「...だよなー」


高倉は「?」を浮かべながら考え込む。

俺はその姿を見ながら「まあ浮気されたのは仕方がない。...また彼女は作るさ」と苦笑しながらみんなを見る。

みんなは顔を見合わせてからニコッとした。


「そうだな。お前モテるしな」

「まあやり過ぎない程度にな。今度は応援するぜ」

「...サンキューな。みんな」


そして俺は手を叩き合う。

それから俺達は授業をまた受け始めた。

しかし俺はこの時点で気が付いてなかった。

何か禍々しいものが渦巻き始めた。

その事に。

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