第三話 平穏を乱す予期せぬ客
明け頃。
務めを果たした
「
意気揚々と戸を開けると、入ってすぐの
「あ、
何と
(これが
「天の
「
「何故そんな目で見る。
幼き
感動しかないだろう?」
「…………そうですね」
盛大なため息を付かれた。
式神に人と同じような感性を求めるだけ無駄か、と結論付け
そんな事よりも
だがしかし。
まずは身を
❖❖❖
大急ぎで身支度を整えて戻ると、
「
米、味噌汁、焼き魚、漬物、煮物。
ほかほかと湯気が立ち上っている。
出来立ての温かい食事だ。
ごくり、と
「頂きます」
両手を合わせ、糧になる食物と調理してくれた
食事も
しっかりと噛み締めて頂く。
じんわりと口内に広がり、舌を
「どうですか?」
「
「はい! 今日もよく肥えて良いお魚が捕れましたよ」
〝そこの川〟というのは、
あそこに住む生物は微々たるものだが神格を帯びている。
故に漁獲は禁止されているが、
(最初にそこの川から魚を捕ったと聞かされた時、
二人の対照的な様子を思い出すと今でも
「そうかそうか。なれば、味わって食べねばなぁ」
「
私は、いつ土地神様のお怒りを受けるのかと、気が気がではないですよ」
「かの神に
つまり、
「……ですかねぇ」
訝し気に眉を
そうして、談笑を交えて
「おおーい。邪魔するぞー」
予期せぬ客が訪れた。
返事をする前に引き戸を
毛先の
男らしいと言えばいいのか、いつ見ても粗野な印象を与える
その後ろから、明るい
こちらは優男といった印象だ。
「おぉ? お前さんが
粗野な男は満面の笑みで無遠慮に部屋へ上がり込み、髪色よりも濃い
「無作法が過ぎるのではないか?
「何を今更。
このところ
笑みが消えて、すっと瞳が細められる。
「
「
優男——
大分興奮しており、今にでも暴れ出しそうな雰囲気だ。
「まったく。主が主なら、従者も従者だな。
「はい」
瞬時に若い男の背後に回ると、両手を
「うぐっ!? 何をする、放せ!!」
「何をする、はこちらの台詞だ。
私の平穏を乱しに来たのなら、即刻お帰り願おう。
それとも、
「いやいや、お前さんと事を構えるつもりはない。
……恐ろしさは身に染みてるからな。
「
目配せで
と、
「悪いな。あれで一応優秀な弟子なんだが、過去に色々あってなぁ。
人一倍、
「無駄話はいい。何をしに来た?」
良く知らぬ相手の身の上話を親身に聞く趣味はない。
さっさと本題に入れ、といつの間にか座り込んだ
「そう睨むなって。都に寄り付かないお前さんに伝言を頼まれたんだよ。
お
お前さんも『
「……気が進まぬな」
「はは! 相変わらずだなぁ。だが、気を付けろよ。
このところ宮中の雲行きが怪しい。
あまり
その
(この座は望んで得たものではない。
そうなれば願ったり叶ったりだが……)
この男が知る
「忠言は心に留めておく」
「冷たいねぇ。茶の一つもないのか?」
「報せもなしに訪れて、どの口が語るのやら。
招いてもいない客を歓迎してやれる
とっとと
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