第二話 不死の巫と幼き妖狐
時は平安の時代。
京に
そんな表舞台の裏側——。
いつの頃からか、世には〝
怪異が現れるは、
都を守護する神々に仕える
——なのだが。
「ああ、
「れ、
ふわりと陽だまりの匂いが
ぬくもりが心地良い。
いつまでもこうしていたいと
「
背後から「こほん」と、
「無粋だぞ、
この
不機嫌を露わに振り返れば、
髪は燃え立つ炎のような
開かれた切長の瞳は
只人とかけ離れた色彩を持つこの男は、
「
「ふん、それがどうした。こうして
絹のように
耳はもふもふしていて
触るだけでなく顔を
「主様の代わりが務まる
ほら、駄々をこねてないで行きますよ」
「離せ、
「その命令は聞けません」
「主の命に背くというのか? そんな風に育てた覚えはないぞ!」
「命に従うだけでは、主のためになりませんからね。
それに、坊の事だってお
疑いをかけられないためにも、やる事はやるべきです」
「く……っ!」
正論なので言い返せない。
狭い家屋の中、外に続く戸へ引き
「
何とも良い笑顔を浮かべて。
(離れるのが恋しいのは私だけなのか?
まさかくっつきすぎて、
「
「今生の別れじゃないんですから。帰ったらまた存分に
「はい!」
課せられた務め、怪異を
❖❖❖
やって来たのは怪異の集う森だ。
夕闇に支配された森は
「はあ、このところ妖どもが騒がしいな。
お陰で毎夜こうして出なければならないのだから、迷惑な話だ。
「凶事の前兆ですかね。
「出雲の災厄……か。あれは
単なる
「私が主様に仕える前ですから、大分昔の話ですよね。
——っと、来ますよ、主様」
はらりと眼前に舞った己の黒髪を払い退けて、
邪気が濃くなると同時に、木の合間からの
姿形は千差万別。
「グギャギャギャ」「ギチギチ」と言った奇声を発している。
知性を兼ね備えてはいない、
「
「舞い踊れ、〝
向かってくる
円を描くように
そうして、
——
(思えば、あの出会いは運命であった)
永き時、自分を使役する〝神〟の命に従って、
(……心を、動かされた)
きっかけは、あの色。
満ちた月、あるいは
(出会った時、
だが、人型と言えども
……掛ける情けは不要だ)
そう思って、
その時。
(
あれは、あの
ドクリと心臓が脈打ち、胸が熱くなった。
さらに
「助けて」——と。
(……そうして、気付けば
回復して目覚めた
人の
(その行動は、存在は、苦痛しか感じていなかった生に希望を与えた)
妖狐は
神の意に反し、
(だが、もう……私は
己を癒す
それが
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