世間は連休って騒ぐけど
星之瞳
第1話
「え!あなた今年は9連休なの?いいなぁ~」
「
「いつもと変りないわよ。帰省する人とかいて、その人たちが優先して休み取るから私は夜勤に入りっぱなしになるわ」
私は看護師。世間では9連休とか騒いでいるけど、医療現場にお休みは無い。むしろ年末年始は町医者が休みなので、救急病院である私の勤め先はとても忙しくなる。
「だからね、今年は俺が子供たちを連れて両方の家に行くよ。真菜はその間ホテルを使ってもいいし、家事を離れて少しゆっくりしたら」
「え!それは嬉しいけど。でも私の実家はともかく、あなたの実家には失礼になるんじゃ?」
「そんなことないよ。両方とも話はつけてあるから気になるなら電話してみたら」
「そうする」私は義実家に電話を掛けた。数回呼び出し音が鳴って。
『はい、山崎です』
「お義母様、真菜です。いつもお世話になっております」
『真菜さん、お変わりなくって、元気にしている?』
「はい、元気です。あの~年末年始の帰省ですが
『もちろんよ。お仕事忙しいんでしょう。いつも家事に、育児にって頑張っているんだから、俊哉から少し休ませたいって提案があってね、私も賛成よ。年齢的にも無理をすると不調が出てくるころだからね。仕事は休めないから家事育児はお休みして少しゆっくりしなさいよ。こっちに来るのは時間が出来た時でいいから。あなたたちが働いてくれるから私達は安心して暮らせるのよ』
それを聞いて、私は涙が出るほどうれしかった。
「ありがとうございます。宜しくお願い致します。お土産奮発しますね」
『気にしないで。じゃ、又』そう言って電話は切れた。
自分の実家に連絡しても同じような返事。子供たちも『お母さん少しはゆっくりしなよ。私達が行ってくるから』と言われ、私は「恵まれてるな」と思い、申し出を受けることにした。
同僚の中には仕事をしていること自体文句を言われたり、色々と気苦労があるという話を聞いている。
私達医療関係者と同じように、世間でお休みという時に働いている人はたくさんいる。むしろそうゆう人が働いているからこそ、お休みしている人が休めるのだ。
サービスを受けられるのが当たり前と思わないで欲しい。努力をしたり、頑張っている人がいることをもっと知って欲しい。考えて欲しい。
そして頑張っている人たちに優しい世界になって欲しい。と心底思う。
世間は連休って騒ぐけど 星之瞳 @tan1kuchan
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