第7話「システム侵食」
病室のデジタル空間に、三色の光が交差する。零と翔子、そして美咲の力が一つとなり、赤城の放つ黒い波動に対抗していた。
「覚えていますか、赤城部長」美咲の声が響く。「あの日、実験室で起きたこと全てを」
赤城の表情が僅かに揺れる。「私は、ただ研究を完成させようとしただけだ」
「嘘をつかないで」美咲が告げる。「あなたは分かっていた。両親の研究の本当の目的を」
デジタル空間に、新たな映像が浮かび上がる。7年前の実験室。赤城は霧島博士のデータパッドを手に取っていた。
『強制的な進化は、人類を破滅させる』データパッドに記された警告。『私たちは、人々が自由に選択できる未来を作らなければならない』
「黙れ!」赤城が叫ぶ。「あの2人は軟弱だった。人類の進化に、迷いなど許されない」
「クリムゾン・アポカリプス、最終形態解放」
赤城のカードが禍々しい赤黒い光を放ち、空間全体を侵食し始める。
「これが、私の求める進化の形だ」
デジタル空間が歪み、現実世界にまで影響が及び始める。病院の機器が誤作動を起こし、廊下では人々が混乱に陥っていく。
「まるで、人形のように」翔子が眉をひそめる。「人々の意識を、強制的にデジタル空間に取り込もうとしている」
「止めなければ」零が前に出る。「サイファーコード、共鳴」
翔子のカードが応える。「フェイタルデコード、解放」
「そして」美咲が手を伸ばす。「デジタルヒーリング、最大出力」
三者の力が交わり、新たな光を生み出す。それは、かつて両親が追い求めた、本当の進化の形。
「馬鹿な」赤城の瞳が見開かれる。「私のシステムが、書き換えられていく?」
「気付いていないのですか?」零が静かに告げる。「あなたは、人々の意思を無視している」
「システムと人の心を、強制的につなごうとしている」翔子が続ける。
「でも、本当の進化は」美咲の声が重なる。「一人一人の中にあるはず」
光の渦が、赤城の黒いカードを包み込んでいく。データの奥底で、何かが大きく変化し始めていた。
「これが...本当の共鳴」
三色の光は、デジタル空間の歪みを正常化していく。人々の意識は自由を取り戻し、システムは本来あるべき姿を取り戻していく。
しかし——。
「まだだ」赤城の目に、狂気の色が宿る。「最後の切り札がある」
彼が取り出したのは、漆黒のカード。その表面には、禁断の文字が刻まれていた。
次の更新予定
『コードブレイカー∞(インフィニティ)』 -Twin Hackers Rising- ソコニ @mi33x
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。『コードブレイカー∞(インフィニティ)』 -Twin Hackers Rising-の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます