第5話「禁断のコード」
「システム異常を検知。未確認のコードが発生」
警告音が鳴り響く中、美咲の周囲に淡い光の粒子が舞い始めた。
「これは...デジタルヒーリング」赤城が呟く。「コードを修復する力」
零と翔子の激突で歪んだデジタル空間が、美咲の放つ光によって安定していく。彼女の指先から放たれる金色の光が、壊れたコードを次々と修復していった。
「お兄ちゃんと翔子さんの力を...止められない。でも、つなぎ合わせることならできる」
美咲の言葉に、零は動きを止めた。「つなぎ合わせる?」
「見せてあげるわ」翔子が自分のカードを掲げる。「私たちに必要なのは、対立ではない」
翔子のカードから放たれた青い光が、零のカードの赤い光と交差する。その瞬間、美咲の金色の光が二つの力を包み込んだ。
「これが、本当の共鳴」
三色の光が織りなすコードが、新たな次元のカードを生み出していく。デジタル空間に、誰も見たことのない光景が広がった。
「素晴らしい」赤城が拍手する。「これこそ、我々が求めていた究極の姿だ」
しかし、その表情には歪な影が浮かんでいた。彼は腕時計型デバイスを操作し、黒いカードを取り出す。
「だが、まだ足りない。もっと強大な力が必要なのだ」
デバイスから放たれた黒い波動が、美咲の光を侵食し始める。
「美咲!」零が叫ぶ。
「心配無用です」赤城の声が冷たく響く。「彼女の力を、より崇高な目的のために使わせていただく」
「崇高な目的?」翔子が食って掛かる。「人々を支配することが、崇高だというの?」
「違いますよ」赤城の表情が変わる。「人類を、進化させるのです」
黒いカードが完全に展開される。that名は「クリムゾン・アポカリプス」。禁断の力を秘めた、ネオコード社の切り札だった。
「人類の意識を、デジタルの海へ。そこで我々は、新たな次元の存在となる」
「狂気だわ」翔子が零を見る。「止めなければ」
零は頷き、新たなカードを生成する。「妹を...この世界を、守るために」
美咲の光が、徐々に強さを取り戻していく。「私も、戦います」
三者の意志が交差する中、デジタル空間が大きく波打つ。運命を賭けた戦いが、新たな局面を迎えようとしていた。
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