続 ラヂヲ一〇〇年
山谷麻也
頑張れ 我らのFM放送
◆突然ですが
埼玉にいた頃、業界団体の新年会で地元FM局のパーソナリティと同席した。二〇一二年(平成二四)の新春だった。
ネタを提供するつもりで
「面白いことがありますよ」
と声をかけた。
後日、連絡があり、治療院に姿を見せた。
小型のレコーダーをセットし、筆者の胸元にワイヤレスマイクを取り付けた。いきなり、番組の収録が始まったのだった。
◆突っ込みに冷や汗
地域に根を下ろす事業所を訪ねるシリーズだった。
いろいろ質問された。そのうち
「東洋医学と西洋医学の違いは何ですか」
などと、突っ込んで来た。
専門学校の教科書『東洋医学概論』みたいなことを言っても、リスナーは退屈するだろう。身近な風邪を例に、説明を試みた。冷や汗ものだったが、パーソナリティのフォローもあって、何とかピンチを脱出した。
それにしても、悪いことが重なってしまった。
隣の空室でオーナーの娘さんが喫茶店を開くことになり、その日から改装工事が入っていた。
ドリルの音が耳をつんざく。とても取材が受けられる環境ではなかった。それでも強引にインタビューは進められた。
◆終わり良ければ
オンエア当日。ラジオの前に、筆者の緊張した姿があった。
二〇分弱の放送時間内に、よくまとめてくれていた。
それに、例の工事音は消され、BGMにジャズが流れていた。やはり餅は餅屋。プロの仕事をしている。
「今日は〇〇デパートの前、はり灸マッサージ✕✕館の院長先生のお話をお届けしました」
立て板に水だった。
「電話番号は▽▽▽―▽▽▽▽―▽▽▽▽です」
「はあ!?」
筆者はすぐさま、FM局に電話を入れた。電話番号の最終桁が間違っていたのである。
追って、訂正の放送をする、ということだった。しかし、後の祭りだった。
◆たまには笑いも
人間のやることにはミスがつきものである。
昨年、インターネットでラジオを聴いていると
「今晩は。正午のニュースです」
とやってしまったアナウンサーがいた。
また、大真面目に
「四国四県に霜注意報が出ています」
と読み上げたアナウンサーも。季節は真夏だった。原稿は「霧注意報」となっていたはずだ。
人間的である。たまにこういうのがあっても笑える。だが、数字や人名のミスはいただけない。
印刷物におけるミスなら訂正文を乗せたり、再版以降で対応ができる。ラジオだと、文字通り覆水盆に返らず。誤情報を垂れ流していないか、一層のセルフチェックが求められよう。
参考 ラヂヲ一〇〇年
続 ラヂヲ一〇〇年 山谷麻也 @mk1624
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