第4話 御心と面倒
俺も祈ろう。
まだ生きているらしい、
だったらどうしよう、だから祈っているんじゃないか。
しばらく、お金持ちになりたいと一心に祈っていたら、おぉ、祈りが通じたらしい。
主神像の前のベッドに、男達を
神の
「〈さっちん〉、お
「はぁ、もう〈さっちん〉は
「かっ、神の御心を
「ふん、分かった分かった。 |下手な小芝居《へたなこしばい〉はやめてよ。 見ているこっちが辛くなるわ」
くっそ、お芝居にはちょっぴり自信があったのに、顔が赤くなったじゃないか。
この
「ちっ、そう思うのなら足の方を持てよ」
俺達は、よっこらせいと、〈つばさ君〉をベッドに寝かせた、そしてまた祈ってみる。
閉じている目の中に、七色の光線が乱舞して交わり、優美な曲線を
あまりにも幻想的で美しかったので、俺はしばらく
もう一度見てみたいと願う、感動的な体験だった。
「げぇ、〈よっしー〉、見てよ。 死体が消えているわ」
〈さっちん〉は、何と冷たい女子高校生だ。
〈つばさ君〉はまだ温かかったので、生きていたのに、死体ってひどいな。
「おぉ、すげぇ。 綺麗に無くなっているじゃないか。 神様ありがとうございます」
〈つばさ君〉は消えていた、突然パッと消えてしまったんだと思う。
俺はこの時、少しお頭がおかしかったらしい、あり得ない現象が起きているのに、ちっとも
目の前にグワーと横たわっていた
自分の手を汚さないで、神様が片づけくれるのだから、ちょっとはある良心も痛まない。
神様も、たぶん、喜んでいるはずだ。
〈つばさ君〉も、死にそうな苦しみから解放されて、皆ハッピーじゃないか。
そう思っておこう、それが平和だ。
そうとなれば、後の二人も苦しみから救ってあげなくては。
たぶん、頭とかが相当痛いはずだよ。
後の二人も、すんなり神様へ捧げられた。
〈さっちん〉が黙って手伝ってくれていたのが、ちょっと意外だったな。
残っている三人の服を、俺は
ポイントカードもあったが、〈さっちん〉がじっと俺を見ていたので、泣く泣く諦める事にした、俺のと合わせればお皿がもらえそうなんだよ。
クレジットカードやスマホは、当然放置する、こいつらは足がつきやすい危険な物だからな。
「〈さっちん〉、ここに
「うん、分かったわ。 それでどこに車があるの」
「えぇっと、車は持っていなんだ。 朝になったら電車で帰るんだ」
「へっ、無いんだ。 しょうがないわね」
〈さっちん〉の
くっ、悪かったな、地方都市で車を持っていない男は、異常なんだろう。
俺が空間の隙間から出ようとしたら、〈さっちん〉が悲鳴のような声をあげた。
「えっ、ちょっと待ってよ。 私をこんな場所に置いてかないでよ」
「はっ、この隙間から出れば良いだろう」
「何を言っているの。 隙間なんか全然無いわ」
あれれ、この隙間は〈さっちん〉には見えていないのか。
それじゃ
「〈さっちん〉、手を
「えぇー、急にどうしてなの。 私達はつき合っていないよ」
〈さっちん〉の常識では、手を繋いだら彼氏なのか、
「はぁ、俺に
「はっ、そうかも。 来る時は間接的でも来れたんだ。 分かったわ」
〈さっちん〉の手は思っていたよりも、小さくて柔らかい手だった、
外へ出れば、まだ雨が降っていた。
「ふぅー、傘をとってくるね」
〈さっちん〉は〈桜草〉の玄関先に置いてあった、客が忘れていった傘を持ってきた。
かなり古いが、バリバリと音がしながらも何とか開いてくれる。
俺達は駅の方へ、
直ぐ横の〈さっちん〉の
「荷物を持ってこなくて良かったのか」
「携帯も持ってないし、お金も無いんだ。 少し服はあるけど、あの女に
おぉ、何も持っていない高校生、未成年だよな。
厄介かも知れないし、犯罪にも繋がるけど、おっぱいを二つも持っている、とても魅力的なことだ。
俺は駅の裏口から少し離れた、空き家の裏で空間を切った。
異界は雨の時とか、夜は大変便利なものだな、テントいらずだよ。
俺達は〈つばさ君〉達が残してくれた服を集め、くるまって寝る事にした、他にする事がないからな。
〈さっちん〉は、「うっ、男臭い」と文句を
ふぅ、当面の厄介事が解決したから、腹が
しょうがない、〈さっちん〉を食うか。
「〈さっちん〉、助けたら何でも言う事を聞くんだよな」
「えっ、そんなこと言ったけ」
「うん。 バッチリ覚えているぞ」
「ち、ちょっと、そんなに近づかないでよ」
「そう言うなよ。 行く所が無いんだろう」
自分で言っといてなんだけど、俺は〈さっちん〉の
どうなんだろう、まあ、明日になったら考えよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます