第4話 『 花の色 』
あるところに神様から美しい目を贈られた人々がいた。彼らの目に世界は美しく輝いているが、その眩しさはそれぞれの目に合った色に映っている。
ある小さな兄弟たちが野原で遊んでいてとても綺麗な花を見つける。
A「とても綺麗だね。赤色だね」
B「何言ってるの?海のように真っ青じゃない」
C「え?太陽のような黄色だよ」
D「違うよ。空のような水色さ」
E「全然!森の緑に決まってるじゃないか!」
それぞれが違う色を主張する。するとそこに、もう随分年取って目が見えなくなった彼らのおばあさんがやってきて言う。
「みんな、その綺麗な目とよく動く口をちょっと閉じてごらん」
兄弟たちが言われた通りにすると、そこに涼しい高原の風が吹いてきて、彼らの可愛い鼻にとてもいい匂いを運んでくる。
「ああ、なんて匂いなんだろう」一人が言うと兄弟たちも同じように頷く。おばあさんはもう見えなくなった銀色の目を開けて言う。
「お前たち、いいかい。自分の目をあんまり信じ過ぎてはいけないよ。お前たちの目に花の色がどう映ろうとも、花は花、自分自身の色でそこに咲いているんだからね」
子どもたちは黙ってまた頷いた。そしてもう一度花の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
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