滝雄死後
命達に言いたいことを言って視界が暗転し、再び暗闇で落ち続けている感覚に戻る今度は話す相手もおらず端的に言えば暇、考える事は命達の事、私が死んだ後は大丈夫かなとか早く生まれ変わりたいなとか仏教の教えでは四十九日と言われているから、あれ?生まれ変わりが早くても命達がいる所へ行くには独り立ち出来る年に成らないと駄目だから、十数年は待たせないといけない、しまったあんな約束をすると命達をあの場所に束縛してしまう、諦めて何処かに行ってしまうかもな、命達の事を思えばそれが正しいのだけどちょっと悲しいと思ってしまう、そんな愚かな事を考える自分を抑えて命達が自由に振る舞ってくれるよう祈るしかない暇なので全て受け入れた叡について考えてみる、自分の魂の中を深く感じ取ってみる、今までに無い破壊衝動に気付く、こんな状態でよく
魂の中に小さいが強い想いがあることに気付く、これは恋かな?凄いなこれは全ての力を強くしている、でも怨みに繫げるのは駄目だよね、確かに自身の得意とする事で彼女の願を叶えられるから張り切るのは分かるけど、彼女と一緒に怨むのは違うと思うな、叡を受け入れたけど叡に染まる事無く客観的に見ることで叡の魂を自分の中の一部程度に落とし込めたしかし、破壊衝動は叡の根本みたいな感じだから難しいな上手く付き合って行きたい、一部まだ見てない小さな記憶みたいな物がある、どれ一体なんだ?これは、叡は私が叡を受け入れる際に自身の意識を全て明け渡すことで私が命達にすぐに話せる様にしてくれたみたいだ、だからあの時『魂に掛けて』と言っていたのか、この意識だけ私が気付けるように置いているのは彼なりの謝罪の意味があるのかもしれない、こちらが想像するしかないけど。
叡を取り込んだ自身の魂の確認をしていると墜ちている下の方に明かりがある事に気付いた、それは段々近づいてくる、その光と目線が同じぐらいになった時に墜ちる感覚は無くなり、青赤黄黒の炎が列をなしていた、一体何だと近づくと頭に角が生えた上半身裸の大男二人が列の整理をしていた
「次の奴こっちに並べ」
何やら私を呼んでいるようだ、よく分からないので呼ばれた所まで行こうと足を動かしたつもりなのだが、床に足が付いている感覚が無く行こうと思ったところへ自然と行ける変な感覚だった自分の体を確かめると前に並ぶ炎のような体になっていた色は灰色、前にいる炎達を見ていると段々前進している私の後に炎の列が出来ている、前方で列からはみ出て余所へ行こうとした炎は他にいた角を携えた大男に怒られながら元の場所に戻されている、訳が分からす従順にならんでいると列の先頭の方で立派なお召し物を身につけた尊きお力を持つお方がいる事に気付くそのお方の前に行く炎が次々消えてゆく私の前の炎がそのお方の前に行くとそのお方の口が動き何かを喋るとしばらくすると炎が消え
「次の者前へ」
どうやら私の番のようだそのお方の前まで行く
『ふぅむ、とても変わった奴が来たのう、お主に同化した魂は地獄で決定だが、同化した今の状態の魂を天国にやるわけにはいかん、お主には選択をやろう、同化した魂を取り除き意識のあるお主は天国へ行くか、同化したままで地獄千年二百年の刑になるか選ばせてやろう』
「千年二百年は困ります、待たせている者がいますので、」
『やはりそう答えるか、では、その待たせている者に千年程掛かると伝わるよう手配をしておこう』
「それは有難う御座います、叡の魂は私が望んで受け入れたものですそれを手放すなど、有りえません」
『そうか、では地獄千二百年の刑に処す』
そう言われた瞬間場所が変わりうめき声が聞こえる
「新入りが来たか、まずはあそこにある針山を歩け!」
ここから地獄の責め苦が始まった何度も心が死んでは蘇生され、責め苦を再び繰り返す
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