滝雄亡き命のその後
「それが命様、滝雄様の転生は早くても千年先になるだろうとの事です」
玄武が先輩から聞いてきた事が絶望的だった
「えっ、そんなっ…」
「御安心下さい、稲荷大神が仰るにはお力を融通して下さるお方に心当たりがあるとの事です」
「それは誠ですか!?一体どなたが?」
「それが、まだ未定だからと私には何も教えてもらえず、分かりませんでした」
「でも、希望があるんだよね?」
「はいそうで御座います」
「うー、早く来て欲しい」
「すみません少し遅れました、なにぶん不慣れな者ですから歴代神々より指南して頂いておりました」
突如私達の前に神々しいお力を携えたお方が御降臨された兄上の魂を抱えながら傅かしずき礼をする
「これはいと尊きお方とお見受けいたします、私は稲荷大神眷属見習いの命と申します、このような何もないところへどういった御用向きでしょうか?」
「ふむ、貴方が命でしたか、まずは貴方に力を貸しましょう」
尊きお方が私にお力(神通力)を貸し与えて下さった
「有難う御座います!」
これでしばらく伸ばせる、でも千年は無理
「いずれここの近くに私を奉る社が建つ予定ですそうすればこの場は私の神域となり、滝雄の魂を神域内で留めておくことができますそれまではこれで我慢して下さい」
「我慢などと、お力を頂く身としてその様な不満を抱く訳もなく」
「そのように畏かしこまる必要はありませんよ、貴方は滝雄の妹なのですから」
「兄上とどのようなご関係なのでしょうか?」
「滝雄とは生前よく話した仲ですよ、私は滝雄の事を弟のように可愛がったものです」
「兄上の兄上様でしたか、お力添え誠に有難う御座います」
「いや、滝雄は私の事を兄とは思って無かったでしょうね、滝雄には感謝しているのです、ですから力を貸すことは惜しみません」
「有難う御座います、感謝ですか?」
「ええ、私の残した怨念を浄化してくれたお礼です」
「はっ、あ、貴方様は早良親王でありましたか」
下げていた頭を更に深く下げる
「それは生前の名ですね、今は祟道天皇と追称され神の一柱となった新参者ですよ」
「そうでありましたか、露知らず生前の名をお呼びしてしまい誠に申し訳ございません」
「貴方の状況を考えれば仕方ありませんよ、そして話を戻しますが、後五十年程待っていて下さい、さすればこの場は私の神域となるでしょう」
「分かりました、誠に有難う御座います」
それから五十年実際に祟道神社が創建されこの場は神域となる、それによりこの場では結界を使わなくとも魂は霧散する事なく存在出来るようになった(祟道明神がそういう結界を神域全体に掛けて下さっている)
前までは結界越しだったが、最近は魂を直接持って撫でることが日課になった
「兄上、千年は長過ぎです、なるべく早くお願いします」
「おはよう御座います命様」
「おはよう青龍、今日は青龍の番だね、兄上をお願いね」
青龍に兄上の魂の欠片を渡す
「はい、お任せ下さい」
「それじゃあ、今日も行って来る」
「いってらっしゃいませ」
青龍は兄上の魂を胸に抱き込みながら礼をする
以前稲荷大神から魂の維持のために何度も借りた神通力をお返しするために稲荷大神の信仰を増やすた努めている、それと同時に眷属となり神通力を自らの手で使えるための修行にもなっている、私は魂が半端で稲荷大神が仰るには幸せを創り出す心が根幹にあるらしく壊す事で得られる幸せを知り、色々な心を知り魂を完成させなさい、さすれば眷属となり神通力を使いこなせるでしょうとのこと、稲荷大神が仰るには叡兄上の方が魂の完成が近かったらしい、ただ間違った方向になったので破門されたとの事、私は間違った方向にはなりたくないので定期的に先輩方に見て貰っている
私の担当区域は祟道神社周辺、普段お世話になっているので時々祟道明神より御用向きのために動く事もある、色々な務めを果たしたが、壊す事で得られる幸せがまだ掴めない創る事が根底にあるため難しい創造と破壊は表裏一体、理屈は分かるのだけど魂ではわからない先輩方には少し悪になるぐらいが良いと聞いている、先輩方も不信心な者に天罰を与える時凄く怒るのだけど節度を持って対応している、本当はもっと追い落とせる所を一線は引いてやっている、私は壊す事が怖いのかもしれない
参拝してたら美少女に兄の生まれ変わりと言われました @inotinosato
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。参拝してたら美少女に兄の生まれ変わりと言われましたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます