命の過去

第21話命の過去

 命様がおしっゃるには、西暦700年中頃ぐらいに稲荷大神の眷属として生み出されたそうです、しかし命様は双子として生まれました、力と魂を分けて双子の兄のさとり様と一緒に、そのため力が弱いことから眷属見習いとされました、それから、功徳を積んで強くなる修行の旅へそれぞれが出たのです


「命、泣くな立派な眷属になるのだろ?」


「うーだって兄上、寂しいです」


「俺だって寂しいさ、一人で出来て一人前なんだ、しっかりやるのだぞ」


「はい、兄上」


「よし、命、どちらが先に立派な眷属になれるか競争な」


「兄上には負けません」


「よし、気合い入ったな、お互い頑張ろうぜ」さとり様は南へ命様は西へ旅立たれたのです






「よし、これでこの人達はひとまず幸せにできた」


「おおーこれはお狐様のおかげじゃーありがたやありがたやー」


「人を幸せにするのは楽しいな次は誰にしようかな」


 命様が修行として功徳を積んでいた時に稲荷大神から


「眷属見習い、命、聞こえますか?」


「はっ、この声は稲荷大神、わたしめにいかがな御用でしょうか?」


「貴方の片割れの兄、さとりが一人の娘に懸想して、娘と体の契りを結ぼうとしています眷属にあるまじき行為です、妹として兄の不祥事を止めなさい、もし、説得出来なければさとりを葬り去ってもかまいません」


「そんな、兄上が!私が兄上を…」


「これを一人でなせればあなたは立派な眷属です、これは修行です」


「分かりました、兄上を止めて見せます」


「件の娘は現在大和川を下り中です、隠岐の島に流刑の最中さなかです、今すぐに向かいなさい」


「分かりました、大和川ですね」


 命様は急いで大和川へ行き娘が乗る船を探しました


「船は…あった、あれは兄上!あんなところで何を?」


 命様が見つけたのは船上にいた娘に人の姿に化けて川の水面上に浮いた叡様が話しかけているところでした、早速止めに行こうとした時に船上の娘が自分で川に身投げをしたのです、その後に叡様の力が増脹しました、兎に角叡様の真意を問うべく接触をしました


「兄上、何をなさっているのです!」


「命か、そうか神様にバレてしまっていたか、俺は今から桓武天皇をやる、春香はるかの意志を継ぐために」


「兄上どうして」


「愛した春香が自らの命をさしだしてまで望んだのだ!!一家の流刑だけで飽き足らず死した祖父の官位の剥奪などと許しがたし!」


「それは逆恨みというものではありませぬか!?」


 命様はこの頃の藤原種継暗殺事件を把握されていました


「いや、俺が愛した春香が正しい」


「兄上どうしてです!功徳を積むならば娘に安息を与え稲荷大神の御威光を示すべきです!」


「春香の安息は天皇の死のみこれなくして有りえぬ!俺は行くぞ!」


「なりませぬ!兄上と云えど、この手で亡き者に致さねばなりませぬ、どうか矛を収めてくださいませ」


「命、お前の人を幸せにする力で俺の破壊の力を止められる訳なかろう!」


「兄上目を覚まして下され!」


 命様は叡様に取り込まれた娘の怨念と、娘一族の怨念を丸ごと昇華させる事で叡様の力を削ぎ落とそうとしましたが、


「ふんっ!」


「な!?防いだ!兄上の力は守りに向いてないのに?」


「攻撃は最大の防御なのだ!命、降りかかる火の粉は払わせてもらうぞはっ!」


「うっ!」


 命様は叡様の攻撃を当たる前に昇華させる事で持ちこたえておりましたが手数が追いつかず


「きゃっ!」


 叡様の攻撃が命様に届いてしまったのです


「命よ、もう俺の邪魔はするな、片割れの妹と云えどもやらねばならん」


 そう言って叡様は長岡京へ行ったのです、傷ついた命様は叡様を追う事にしましたが力が入らず途中で傷を癒すため霊的に良いところを探し辺りを見渡すとすぐ近くに命様と相性の良い力が湧き出す所を見つけそちらへ行ったのです、その先には御主人様の前世である多治比たじひ滝雄たきお様が居たのです

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