第20話テレビ出演、おめでたもあるよ

 今回の劇的復活をテレビで取り上げたいという事で代表取締役のお父さんとキャラクターを作った俺がテレビ局に出向いた、たが俺は行きたくなかった、実は涼香の出産が間近だったからだ俺は行かないと言ったが、涼香が


「大漫画家にはなれなかったんだから、脚光浴びてみるのも良いじゃない、こんなチャンス無いんだから行ってきて、こっちにはお母さんと桜お母様それに珠姉さん礼奈それに命ちゃん達がいるし大丈夫よ」


「でも、初めての子供が産まれる時に居なかったなんていやだし」


「つべこべ言わずに行きなさい、あなただって少しは行きたい気持ちがあるでしょ?」


「あると言っても少しだぞ、涼香と子供を放置してまで行きたいとは思わないぞ」


「放置じゃないから大丈夫、行ってきなさい、男の人が居て役に立つ事は無いんだから」


「うぐっ、分かった、あっちに行っても電話するからな」


 涼香はいつも俺の為に悪者になってまで強く言ってくれる、こんな言い方をした涼香の言った事の逆に行くと良いことがない、客観的に俺の事を見てるからそんな事が出来るのだろうな、そういう訳で東京のテレビ局にお父さんと来た、真面目な情報番組系ではなく、バライティ番組の一環で出演する、小黒麻呂や知夫の犯罪の話をやらないと復活劇の話が始まらないので、こういった軽く楽しめる空気のほうが二人の逮捕も笑い話で有耶無耶に出来て丁度良い、番組は前もって伝えておいた事をVTR形式で我が社の追憶を紹介した後にスタジオで芸能人の質問に答えていく、キャラクター誕生秘話で自分が漫画家を目指していたとか赤裸々話をしていると自分が描いた昔の漫画が映し出されビックリした、その時お父さんの顔はサプライズ成功を喜び、したり顔になっていた、場が盛り上がるならまあ、良いか。収録は終わりでもう帰ろうという事で(本当は東京の取引先へ行く予定もあったが、それはお父さんに任せて)新幹線を待っていると


「お兄ちゃん、もう産まれそう!!」


 突然命がやってきた


「なにっ!!涼香は大丈夫か!?」


「兎に角お兄ちゃんを送るね」 命が何か言ったと思ったら目の前の景色が駅のホームから涼香が入院している産婦人科に変わった


「え!?ここは!どうして?」


「お兄ちゃんこっち」


 命に連れられ行った先にはお母さん、千歳お義母さん忠邦お義父さんがいた


「龍雄!帰って来れたの?」


「命が送ってくれた、今どうなってんだ?」


「看護師さんが言うには涼香ちゃんは大丈夫なんだって、でも赤ちゃんが…」


「なっ…なんだって…」 目の前が真っ白になる涼香と二人でこれから産まれてくる子にあーしようこうしようと明るい未来を語って産まれてくる事を楽しみにしてたのに


「お兄ちゃん大丈夫、その為に私が居るんだからお兄ちゃんこっち向いて」


「命どうにかできるのか!?頼むなんとかしてくれ!!」


 俺は命の言葉にすがる想いで命の方に向くと


「お兄ちゃん、私幸せだったよ、これからもずっと見守ってるからね」


 命が俺の懐に入ってくる


「命、一体何を言って」


「お兄ちゃん少し気を失うけどごめんね」


 命がそう言ったと思うと目の前が暗くなった、目が覚めると知らない天井だった


「御主人様お目覚めですか?」


 白虎が傍にいた


「赤ちゃんは!?」


「無事に元気よく産まれました」


「そうか、良かった、命が何とかしてくれたのか?」


「はい、命様は御主人様の魂の中にあった命様の実の兄上様の魂の欠片を赤ちゃんに還す事で赤ちゃんを現生に留められました」


「え?訳分からない、どういうこと?そういえば命は?」


「命様はもう現れません」


「え?なんで?」


「命様は眷属見習いの課程を履行いたしましたので正真正銘の眷属様になられたのです、ご実家のコン様セツ様を思い出して下さい、白いモヤのように見えておられたのでは?」


「ああ、確かにそうだ」


「命様も同じです、こちらをご覧下さい」


白虎がおれが寝ていた枕を手で指すのでそこを見ると以前見た白いモヤより薄く微かに見えるかな、ぐらいで場所を特定して教えて貰わないと見落とすぐらいに分かりにくい


「んー分かりにくいぞ?」


「ここは神棚が無く分かり辛くなっているからでしょう」


 白虎と話しているとそのモヤが俺の胸にやって来た、これが命なのか?もしそうなら赤ちゃんを助けてくれた命にお礼をしないとな、モヤをありがとうの気持ちで撫でた(というか、モヤに手を突っ込んだ状態だけど)モヤが揺らいだ


「命様よろしゅ御座いましたね」


 白虎は涙ぐむ


「え?一体どうしたの?」


「命様は今大変お喜びに成られております」


「そうなのか?喜ぶならもっとやろう、俺の感謝はこんなものじゃないぞ」


 ナデナデナデナデ


「龍雄目が覚めたって?」


「あ、お母さんと朱雀」


「赤ちゃん無事なのよ!」


「うん、今聞いたよ」


「ならぼっとしてないで来なさい」


 お母さんに連れられて来たのは涼香のいる部屋だったそこには赤ちゃんを抱っこしている涼香がいた


「あなた、赤ちゃんが息を吹き返したの」


「始め話しを聞いたとき気が遠くなるかと思ったぞ」


「わたしは目の前で蘇生処置されてるの見ててもうだめなのかなって落ち込んでたところで命ちゃんが現れて赤ちゃんに触れたと思ったら赤ちゃんが泣いたの!その時なぜか、お医者さんや、看護師さんは命ちゃんに気づいてなかったの、命ちゃんが何かしてくれたんだと思ってお礼を言おうと探して貰ったけどもう居ないって」


 涼香が泣きながらその時の状況を教えてくれる


「そうか、俺も命の事は聞いた、いまはここにいる」


そう言って自分の胸辺りを指す


「もう、そんな詩的な話をしてないわよ」


「いや、見えてないだけで本当にいるんだ」


「本当ですよ涼香様」


 玄武が言うと


「そうなの?ありがとう命ちゃん」


「涼香、赤ちゃんを見せてくれ」


「ええ、ほら見て」


 目を瞑ってあくびをしているかわいいな


「涼香、ご苦労さま」


「うん、ありがとう、お父さん」


「涼香お母さん今起きててもいいのか?」


「この子を産んでから6時間経ってるから大丈夫よ」


「え?6時間?」


「こんばんはーお変わりないですか?おや、お父さん目が覚めたんですね、今まで気を失うお父さんは何人もいましたけどこんなに長く気を失ってる人は初めてですよ」


 見回りの看護師さんが来た


「いやー申し訳ない」


 命が何かしてくれたぐらいしか分からないし詳しく言っても信じて貰えないだろうし、ここは赤ちゃんがヤバイと聞いて気絶してしまう気の弱いお父さんというレッテルを甘んじて受け入れよう


「あなた、女の子だったの、考えてた名前は何?」


「名前はみさとだ」


「…みさと?」


 俺が言った名前を聞いて涼香は呆然としたかんじで名前を言い返すと、突然泣き出した


「どうした、泣くほど嫌だったか?」


「違うのなぜか、嬉しくて涙が」


 涼香にプロポーズした時に言ってた名前を思い出したか?プロポーズをして落ち着いた後に聞いても覚えてなくて、あれはなんだったのか分からない


「漢字は美しくさといとする予定だったけど、みことに助けられた子だから命叡みさとにしようと思う、どうだ?」


「うん、それでお願い」


「うぅぅ、命様よろしかったですねえぇぇ!」


 突然白虎が泣き出した


「え!?何どうした?」


 よく見ると四神獣達みんなが泣いていた


「御主人様がさといの漢字を使った事に命様がお喜びなのです」


「その漢字がどうかしたのか?」


「実は命様の実の兄上様のお名前がさとりだったのです」


「へーそんな偶然あるんだな」


 いまいちぴんと来ない


「命様の事を語るには御主人様の前世についても話す必要がありますね、ご主人様の事を一番知っている私が滝雄たきお様との出会いから…」


 白虎が俺の前世について語り出しだそうとしたが


「そこから話していては大変長くなるでしょう、我々との馴初めなどは省き命様のお生まれからお話をいたしましょう」


 玄武が白虎の話を遮り、玄武が語り出した

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