第17話プロポーズから激動

 昼食を食べて涼香が来るまで四時間ほどはあるな、突然出来た空白時間何しよう?涼香が来るし、おもてなしの準備をしておくか、そう言えば




「お母さん、今日の夕方頃に涼香が来る事を俺お母さんに言ったかな?」




「えー?聞いてないわよ」




「あーやっぱり言い忘れてたか…じゃあ、涼香に出すケーキでも買ってくる」




「栄さんに良い報告がすぐに出来るわね」


 涼香が好きなケーキは確か苺がいっぱいのショートケーキだったよな好みが変わってなければ良いけどな、お母さんがよく買いに行っているケーキ屋に行く




「いらっしゃいませー」


 丁度良いやつがあった涼香と俺そしてお父さんお母さんあとは手土産に栄さん家族分も買う


 あと必要なのは…思い付かないや彼女いない歴イコール年齢な自分が思い付くことなんて知れたものさ


開き直って帰るとお母さんが台所でバタバタしていた




「お母さんケーキを冷蔵庫に入れとくよ涼香に出す分以外にお父さんとお母さんの分もあるからね」




「分かったありがとう」




 「何してんの?」




「いなり寿司を作ってるのよ、今日急だったけど問題解決したようなものだしね眷属様にお礼と、涼香ちゃんに手土産としても良いしね」




「あ、ケーキ手土産用買ったよ」




「あらそうなの?手土産増ちゃったわね、そういえば、涼香ちゃんにプロポーズちゃんとするのよ」




「裁判結果まだだろ?」




「もうお父さんが復帰するのは確定なんだから早くしなさい」


 裁判結果が出るまでって話だったから一、二ヶ月の猶予があると思ってたのに急過ぎだろ!何にも考えて無かったぞ……腹を括るしかない、今日言わないと!心臓バクバクして落ち着かない、昨日はその場の空気に飲まれ、頭が麻痺ってたんだ冷静になってからもう一度言えといわれると緊張する涼香にはすでに受け入れてもらえたといえ、恥ずかしさが出てくる、俺と涼香は恋人期間が皆無幼馴染みの延長でしか無く甘い雰囲気なんて分からないしプロポーズする空気作りとか分かるものか!!もう良い、他の人から笑われようが


馬鹿にされようが涼香に納得して貰えるプロポーズをしよう


 俺は部屋に籠もって自分なりのプロポーズ準備をした、もっと時間が欲しい急がないと!


 何とか涼香が来る十分前ぐらいに出来た


後は心を落ち着かせ普段通りにしゃべらないと涼香に気づかれてしまうただ涼香は近々プロポーズされる事を知っている状態サプライズ的にするなら涼香と初めてのデート(?)である今日が一番、ばれないようにする条件その一、普段通りに振る舞う、その二、お父さんの復帰を教えない、無事な裁判結果が出るまでという期間を決められた現在お父さんの裁判結果がすぐに分かりそうな情報が入ればプロポーズが来ると察してしまう、それでは駄目だサプライズじゃない、その三、仕掛けにさり気なく涼香を誘導これが一番難しいイメージトレーニングをしっかりして落ち着け俺!涼香から聞ける言葉は分かってるんだ勝ち戦なんだ、緊張しなくて良い




「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」


よしっ落ち着いた


 ピンポーン


 家の呼びベルが鳴る


涼香か!?




「はーい、あら涼香ちゃんいらっしゃい、んふふふ」




「こんにちは桜お母様」




「あら、涼香ちゃんお母様だなんて気が早ーい、良いわよーもっともっと言ってねーもう涼香ちゃんはうちの子なんだから」




「ありがとうございます桜お母様凄くご機嫌ですね?」




「あら、分かる?明日からお父さんが仕事に復帰するかもしれないの!!」




「それはおめでとうございます」


 ちょっと、お母さーーーん




「涼香いらっしゃい!涼香、中に入ってくれ俺の部屋覚えてるか?俺は菓子と飲み物用意してくる」


 急いで玄関まで走り二人の話に割り込む




「うん、大丈夫覚えてるよおじゃましまーす」




「涼香ちゃんなら全然おじゃまじゃないわよさあさあ入って」




「ありがとうございます」


 サプライズが瓦解した、お母さんは別に何も悪くない、先に伝えなかった俺が悪いだけだ報連相大事、絶対、これ仕事の基本、ケーキを皿に載せアイスコーヒーを入れる、涼香はコーヒー大丈夫なのか?一応オレンジジュースも入れておこう、全てお盆に載せて涼香がいる自分の部屋へ、涼香は棚に置いてあるフィギュアをまじまじと見ていた、玄関では少し話しかけただけだったのでちゃんと見れなかったが、涼香の服装が目についた両肩が露わになったキャミソールに下はシンプルなロングスカート




「涼香その服似合ってるな、昨日から涼香に惚れ直してばかりだ」




「えっ!?ありがと」




「うん、恥ずかしがって俯くところもかわいいぞ」




「あ、ありがと?」




「何で語尾に疑問符付いてんだよ」




「だって突然龍雄が褒めちぎるから何かあるのかなって身構えちゃったのよ」


ヤバイ、プロポーズをするかもしれなと察してしまったか?おかしい俺は普段通りだったはずだ、やはりさっきのお母さんの話から勘づいたか?




「すまんすまん、デートの基本は彼女を褒めるところからだろ?」




「それどこ情報?」




「漫画だぞ、彼女いない歴イコール年齢の俺はスマートにエスコートできないから覚悟しておいてくれ」




「エスコートはスマートさより一生懸命さが欲しいな龍雄にスマートさなんて無理だろうし、手慣れてない龍雄で安心した」




「今度からスマートに出来るよう頑張るよ、でも変なところで安心するなよ」




「変わってないところが分かって安心したの」




「なるほどな、そうだ涼香は苺たっぷりのショートケーキで良かったか?」




「あ、覚えててくれたの?ありがとう大好きだよ」




「良かった、なる程安心するな」




「でしょ?私達の関係って変わってるんだから他の人達と比べない方が良いと思うよ」




「アイスコーヒーは大丈夫なのか?」




「ええ、好きよ」




「ならこれな」


ケーキとアイスコーヒーをテーブルに載せるさり気なく作業机の近い場所に置くのがポイント俺は涼香の対面




「ありがと頂きます」




「んー美味しい」




「それは良かった、俺が来るまでフィギュアを見ていたな、何か気になる事でもあったのか?」




「うん、桜お母様から龍雄がちょっとエッチな人形を置いてるって聞いてたから探してたの」


 ちょっと、お母さーーーん息子の性癖暴露辞めてホントに




「あ〜っと、それは漫画の資料用のやつかな?」




「それ見せて」




「え!?あ〜っと、見ても何も面白くないぞ」




「面白いかは私が判断するわ」




「あ〜っう、分かったよ」


 涼香の圧にたじろぐ昨日収納箱に入れといた昔流行ったヲタク向けアニメキャラのバニーガール姿でエッチなポージングをしたフィギュアを渡す




「へーほーん」


 もう針のむしろだ涼香が幻滅しないか心配だ冷や汗がいっぱい出る




「私が来るから隠したんだ?」




「あ〜っと、彼女を招待するのに相応しくないかと思ってな」




「捨てるのではなく、しまっておいたんだ?」




「あ〜っと、それ高かったんだよ!捨てるなんてもったいない!」




「まあ、良いわバニーガールが好きなの?」




「あ〜っと、そのキャラが作中で着たのが人気だったから出されたフィギュアなんだ、あ〜っと、好きなのはこのキャラでたまたまそうたまたま!バニーガールの格好だっただけなんだ」




「この子胸大きいわね、こういう子が好きなんだ?」




「胸は付属品だ好きになった子の胸を好きになるだけだ」




「私の胸は?」




「大好きだ!」




「この子ほど大きくないけど?」




「大好きだ!」




「私この子ほどお尻大きくないけど?」




「大好きだ!」




「ふっふーん、そう、なら良いわ」


 許してもらえたのか?




「別に趣味に強く口出ししないけど浪費は駄目よ」


「おう、もうキャラグッズは買わないと誓うだからブルーレイまでは許してくれ」




「別に良いわよ沢山買わなければね」




「ああ、良かったー、じゃない」


 こんな事でやきもきして、安心してどうする今日はプロポーズをするんだろ俺!




「あ〜涼香、俺の漫画読みたかったんだよな?」




「えっ?ううん」




「これ恥ずかしいけどあ〜っと、昔に描いたやつなんだ読んでみてくれ」


 俺は作業机に置いていた漫画を渡す




「うん、ありがとどれどれー」


涼香が読み進める、自分の描いた物を見てもらう時のドキドキ感はいつも抜けないな、あっ!あそこはあの部分かな?そしてあそこに俺のプロポーズが描いてあるところに!!よっ、読んだよな?無反応なんだけど!?気づいてもらえなかった!自分でネタバレなんて恥ずかしいんだけど、何か言ってくれ~




「ふぅうん……、ふん!」


 急に涼香が俺の頭にさっきまで読んでいた漫画を叩きつける




「いてっ!何すんだよ!」




「手を凝らしてくれたのは嬉しいけど、こういうのは直接言って」


 涼香に怒られて俺の中で稲妻が走った




「ごめん、俺なりに出来るプロポーズをしようと思ったけど余計な事だったな、涼香、おふざけは無しだ聞いてくれ」




「うん」


俺は涼香の隣に移動して涼香を見つめる


「俺は涼香の事が結婚の約束をした時から色あせることなく大好きだ、遠回りしてしまったけど結婚して下さい!!」




「ええ、喜んで」




「ありがと涼香」


 涼香の手を握る、そしてここから!イメージトレーニングでは抱きしめて、きっきっキスまでしてたのに羞恥心が!!




「これから私達のペースでやっていこう?」




「おっおう、そうだなすまん」




「良いの私も龍雄が大好きだけど今すぐにキスだなんて想像も出来ないもん、でも」


 涼香がニヤつく、一体なんだ?っと思ったら涼香が俺に抱き付いてきた




「なぁ!!」


 小さい時はいっぱい抱き付いてたのに動揺してしまう、命に抱き付かれた時でもこんなに動揺しなかったぞ!




「すっすすす涼香ぁ?」




「抱き付くぐらいどうって事無いぐらいまで戻したいな」




「それは羞恥心を知らない幼稚園の時だろう」




「羞恥心なんてかなぐり捨てないと一緒に住めないわよ」




「それもそうだな」




「んっ」


涼香が両手を前に出して少し広げる俺はその両手の中に体を進め涼香を抱き締める




「暖かい」




「冷房強かったか?」




「もう、ばか」


 そう言ってより強く抱き締めてくるそんな涼香が愛おしくて涼香の頭を愛おしい想いを込めて撫でた




「ふああぁ龍雄ぉー龍雄ぉー」




「ん?どうした?」




「それ好きぃもっとやってぇー」




「ああ、いくらでもやってやる」




「ハァハァ」


 涼香の呼吸が荒いな




「涼香大丈夫か?」




「だぁいじょうぶぅ」


 いや、呂律回ってないぞ、涼香を確認するために涼香を俺から離す




「龍雄ぉーもっとぉー」


 涼香の目の焦点が合っていないヤバイだろ正気に戻さないと




「んー」


 涼香がキスをねだりだす今の状態の涼香にキスをするのは駄目だ、こういうのはお互い正気な時にしないと、キスを待ち構える涼香を抱き締め正気に戻れとおもいながら背中をポンポンしたら




「あぁ龍雄私幸せぇ」




「俺もだよ」




「んふふーだぁいすきぃ」




「俺も大好きだ」




「これからね結婚して龍雄との子供つくってみんなで幸せに暮らすの」




「そうだな良い家庭を築こうな」




「うん」


それから一分ほどすると




「あれ?みさとは?」




「みさと?」




「もう、私と龍雄の子供でしょ」


 マジかよまだ俺たち致してないぞ




「あれ?あれ?んー?はっ!くぅぅぅ」


 涼香の顔が赤くなる




「さっきのは忘れて」




「おっおう分かった」




ガチャ




「お兄ちゃん、涼香さんおめでとう!!」


 命が突然部屋に入ってきた




「どっどうしたんだ命!?」




「実はお兄ちゃん達のやり取り見てたの」




「なんだって!恥ずかしい!」




「ええー!そんな、命ちゃん!?」




「ご主人様おめでとうございます」




「ご主人様おめでとー」




「ご主人様おめでとうございます」




「ご主人様涼香様おめでとうございます」


 四神獣達も来る




「お前達も見てたのか!?」




「私共からすれば壁など児戯に等しいですからのぞき見をさせて頂きました」


 玄武が一礼する




「命達に隠し事なんて無理だな」




「お兄ちゃん、安心して、プライバシーは守るから」




「いや、もう侵害されてるよ!」




「御免なさい、お兄ちゃんの晴れ舞台見たくて覗いちゃった」


 命がテヘペロをするどこで覚えたあざといな!




「そう言えば、お兄ちゃんが無意識に力を使っちゃったから涼香さんが多幸感強くなりすぎて、夢遊状態になってたよ、お兄ちゃんが沈める方向にしたから何とか正気に戻れたね」




「さっきの涼香は俺のせいなのか?」




「そうだよ」




「力を使ったつもりは無いのだけどな」




「無意識に出しちゃうのは直さないとね、お兄ちゃんの力はお兄ちゃんを信頼している人ほど強く幸せな気持ちにさせるの、そして涼香さんは涼香さんにとって幸せな夢を見てたんだよ」




「あれが私の幸せ…」


 涼香が先程の事を思い出して顔が蕩ける




「涼香どんな夢だったんだ?涼香が幸せになれるように俺頑張るよ」




「平凡な日常よ、龍雄と結婚して、みさとを産んでみんなで仲良く暮らすの」


 『みさと』?さっきも言ってたな




「そうか、それを実現させないとな」




「ええ、宜しくね」




「まずは結婚だな、涼香のお父さんとお母さんに報告しないとなそれから、挙式に、これから忙しくなるぞ」




「そうね頑張りましょ」


 命達に合ってから幸せでいっぱいだ




 お母さんに涼香と婚約したことを話すと喜んでくれた涼香を家に送ると涼香のお父さんとお母さんに捕まって家に上がらせてもらい、その場の流れで報告、栄家のみんなに祝福された、礼奈にはどこまで進んだのか根掘り葉掘り聞き出されダメ出しを食らった、礼奈は早く結婚しないものかと常々やきもきしてたらしいそれには栄家のみんなが賛同した


 色々と申し訳ない、みんなに祝福される結婚って良いものだな


 時々親に反対されて駆け落ちとかあるけどみんなが幸せになれる結婚が俺は良い


 栄家で晩ご飯をご馳走になり家に帰ったのが九時になってしまった、礼奈ちゃんには泊まれば良いじゃないと薦められたが、会社の事が気になるので遠慮させて貰った礼奈ちゃんは涼香に怒られていたけど




「ただいまー」




「お帰りなさいお兄ちゃん」




「御主人様お帰りなさい」




「御主人様お帰りー」




「御主人様お帰りなさい」




「御主人様お帰りなさいませ」


 命達が出迎えてくれる




「お兄ちゃん、なんだか嬉しそう」




「栄さん達にも婚約の報告が出来たんだ」




「おめでとうお兄ちゃん」




「ありがとう、全てが上手く行き過ぎてる、怖いぐらいだ、命達が何かしてくれたのか?」




「四神獣達がお兄ちゃんに、悪いことが起きないようにしてたぐらいだよ私はお父さんの問題解決に先輩の手伝いをしたぐらいだよ」




「あれ?そうなのか?急に上手く行き過ぎてちょっと疑ってしまった、ごめんな」




「お兄ちゃんがそう思えるぐらい良くなってるよね、でもこれは成るべくして成った結果なんだよお父さんの復帰は、眷属の先輩方の助けもあったけど、お兄ちゃんの婚約はお兄ちゃんと涼香さん二人の家族みんなの努力の結果だよ、だからお兄ちゃんは家族のみんなにいっぱい感謝してね、私達は家族のみんなが行動できるよう裏でサポートしただけだよ、お兄ちゃんを幸せにするとか言いながら余り力を出せてなくてごめんね」




「いや、命はそんな事を気にしなくても良いぞ」


 お父さんの件から考えて命が本気で俺を幸せにしようとすればなんか怖い事が起きそうだからちょっと力を貸してくれるぐらいが良い、ダイニングに行くとお母さんとお父さんがいた、もう九時だしなそりゃ仕事は終わってるよな




「龍雄、お帰り栄さんどうだった?」




「龍雄帰ってきたのか、一泊してきても良かったんだぞ」




「それは、流石に断ったよ会社が気になってたし、栄さん達には喜ばれたよ」




「そうだ、小黒麻呂と知夫が逮捕されてな、臨時株主総会を開いて私が代表取締役に決まった、専務は龍雄になったぞ」




「え!?俺他の部署の経験まだしてないぞ?」




「龍雄は私が鍛え上げる事で満場一致だ、それを言ったら知夫だって全部の部署経験やってなかったぞ、はじめ君もやってないのに常務だしな」




「そんな事まかり通ってたのかよどうやって他の親戚を納得させたんだよ」




「小黒麻呂が年長者ってだけで強く出てな、知夫とはじめ君がいないと駄目だと主張して、気弱な親戚は首を縦に振った状態だ」




「何それ株主総会の意味ないじゃん」




「そうだな、しかも小黒麻呂は自分の意見を通す為に数値改竄をしてたんだ投票制なんてどれだけ有権者を騙すかだからな勝者になった後に帳尻合わそうと思ってたのだろうが予想外な早期退陣でバレてしまった状態だ」




「改竄!?」




「これと他の事について株主会で小黒麻呂を訴える予定だもう楽に死ねると思わせねぇ」


 お父さんが怖い顔をして目をギラつかせている




「そういえばお父さん小黒麻呂大叔父さんのこと呼び捨てにしてる」




「あんな奴に叔父という敬称はいらん悪事はこれだけでは無かったんだ私がいなかった三ヶ月の間に横領をしてたんだ知夫と共に、しかしはじめ君には教えて無かったらしい、もし教えていたらはじめ君は今日私に助けを求めなかっただろう、今回はそこがこちらに幸いした」




「そういえば、父親と祖父の逮捕ではじめの反応は?」




「もうこの世の地獄かのような落ち込み様だったぞ、然さもありなん、でも不思議な事に励ましてやろうと夕食に誘ったんだが、その時だけ表情が締まってな、早く帰ると言ってすぐに帰ってしまったんだ、はじめ君と言えば夜遊びが平常運転、家なんて荷物さえ置ければ良いぐらいだったはずなのに、いつもと違う感じだったなそれだけ落ち込んでたのかもな」




「いや、ちょっと前にはじめの奥さんが猫を拾ったらしくてその猫を異常なぐらい溺愛してたから夜遊びをしてる暇が無いとか言ってたぞ」




「そうだったのか、だから今日は早く帰る為にあんなに一生懸命だったのか?残業が確定した時の絶望した顔もそれが原因か?」




「そういえば?はじめ君は奥さんの百合ちゃんと不仲の噂なかったかしら?」


 お母さんもその噂知ってたんだ




「あったけど猫で仲良くなったみたい」




「そうかあそこは子供がいなくて離婚間近と言われてたが猫が繋いだか、よく子はかすがいと言うがあの二人の場合猫は鎹ってか?ハッハッハー」


 お父さんのツボに入ったらしい




「龍雄、涼香ちゃんと正式に婚約したらしいな、良くやった」




「なんだか、みんなが色々してくれたんだってな、お父さんお母さん俺と涼香のためにありがとう、涼香と幸せになってみんなに幸せのお裾分け出来るようにするよ」




「うっうっ龍雄がこんな事を…嬉しくて涙が」


 お母さんが嬉し泣きをする、それだけ迷惑掛けたということだろう




「いい顔するようになったな、私達が色々とは何の事かな?」


 お父さんはシラを切るつもりの様だ、




「命から聞いたぞ涼香の両親と色々したって」




「命ちゃん!!言っちゃ駄目、シーッ」




「御免なさい、これはちゃんと言っておかないとお兄ちゃん気づけないから」




「それでも良いんだよ命ちゃん」




「お兄ちゃんの元々の運気もあったけど、お兄ちゃんが涼香さんと婚約出来たのはお父さん達のお陰なのは事実だから何も知らずにいるのは駄目、自分の実力で成功したと思い込んで傍若無人になった人はいっぱい居るの、そんな振る舞いをしたら次は落ちるだけ、お兄ちゃんはそんな振る舞いはしないけど感謝の心を忘れちゃ駄目なの、逆に感謝される側は過度な見返りを求めるのは駄目、神様は見返りを別に求めてないの求めるのは感謝の心なんだよ、よくお稲荷様は見返りを求めるからお願いしない方が良いとか変な風評があるけど稲荷神社で願掛けをした人が成功した時実際には助けて貰って成功したはずの物を自分の力でやったと勘違いをして感謝をしなかったから、神様や、眷属達がその人を見放した結果実力の無かった人が勝手に墜ちてるだけで、別に神様や眷属達は罰を与えて無いのにね、見返求める偽善ではなく無償の救いをしたのならおごる事無く誇れば良いんだよお父さん」




「そっ、そうだったのか!龍雄、昔から言っていた通り感謝の心大事、絶対、分かったか?」




「ああ、分かってるよ、だから今回の事ありがとう」




「感謝されるだけで全て報われた気になるな」




「あと、命達もありがとう、色々してくれたみたいだし」




「私達は今回の事はたまたま、お父さんの問題解決をした副産物だから別にいいよ」




「え?副産物?そう言えばお父さんの事本当にありがとう」




「えへへ、どう致しまして」




「はっお母さん、コウ様セツ様に多大なる感謝を!」




「お父さん、感謝を込めていなり寿司をお供えさせて頂きましたよ」




「そっ、そうか、私も感謝を込めて祈るぞ!!」


 そう言って神棚へお父さんは走って行く


今の俺が有るのは色々な人達のお陰だ感謝しかない、そう思える時点で今の俺は恵まれてるのだろう、心がずさんだと感謝する心の余裕が無いからな

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