第6話 星の調和
宿曜占術の力で星座を救い、闇を払った沙月とレオ。しかし、星の王国にはまだ不安定な気配が残っていた。星座の力が戻ったにもかかわらず、星々の調和が完全に整っていない。それは、宿曜占術では解き明かせない「運命の歪み」が原因だった。沙月とレオは、この最後の障害に立ち向かうため、星の神殿へと向かう。
神殿は星の王国の中心に位置し、全ての星座の力が集まる場所だった。神殿の門を開いた瞬間、二人は圧倒的な光と力を感じた。その中央に立つ大きな星石が、ゆっくりと揺れ、不安定な光を放っている。
「これが運命の歪みの源か……。」
レオが呟くと、沙月は神殿の内部を見渡しながら言った。
「星石の光が不安定なのは、私たちが解決すべき最後の試練だと思う。」
沙月は星石に近づき、宿曜占術の書を開いた。しかし、そこに記された言葉はいつもと違っていた。
「『占術では解けない時、心で答えを導け』……?」
彼女は困惑しながらレオを見た。
突然、神殿の中に星座の幻影が現れた。それは、二人に向けて問いを投げかける。
「星座の調和を取り戻すには、心からの答えが必要だ。占術に頼るのではなく、真実の想いを示せ。」
沙月は戸惑った。宿曜占術に頼ることでここまで来たのに、それを超えた答えが必要だという。
「沙月、どうする?」
レオの問いに、沙月は少しの間沈黙した後、意を決したように答えた。
「私の想いは一つ。レオ、私はあなたを信じる。そして、私たちが共に築いた絆を信じる。」
彼女の言葉に、レオは微笑んだ。
「俺も同じだ。どんな運命だろうと、お前と一緒なら超えられる。」
沙月はレオと共に星石に手をかざし、自分たちの心からの想いを捧げることにした。二人の心が一つになる瞬間、星石が眩い光を放ち始めた。
星座の幻影が再び現れ、柔らかな声で語りかけてくる。
「あなたたちの愛と信念が、運命を超えた。この調和は、宿曜占術では測れない本物の力だ。」
その瞬間、神殿全体が光に包まれ、星の王国に真の平和が訪れたことを示す鐘の音が響いた。
全てが終わった後、沙月とレオは静かに神殿を後にした。だが、星の王国に平和が戻った今、沙月は一つの決断を下さなければならなかった。それは、自分の世界に戻ることだった。
「沙月、本当に行くのか?」
レオの声には寂しさが滲んでいた。
「うん。でも、私たちの絆はどんな距離があっても消えないよ。」
沙月は微笑みながら答えた。その微笑みは、レオの心に深く刻まれた。
沙月が元の世界に戻った後も、彼女の心には星の王国での思い出が残り続けた。宿曜占術を学びながら、多くの人々に「本物の愛」の力を伝える道を歩む彼女。
一方、星の王国で王としての務めを果たすレオは、いつか沙月と再会できる日を信じて、星座の守護者として新たな未来を築いていく。
夜空を見上げた沙月は、満天の星を眺めながら静かに呟いた。
「レオ、私はここで頑張るよ。あなたも向こうで頑張ってね。」
その言葉に応えるように、一際明るい星が瞬いた。それは、二人を繋ぐ「本物の愛」の証だった。
こうして、沙月とレオの物語は幕を閉じたが、彼らの絆は永遠に輝き続ける。
あなたと彼を繋ぐのは、星の導きか、それとも自分の想いか まさか からだ @panndamann74
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