第3話 碧黒き海

ブランクは有るが、馴れしたんだ海水は優しく譲治を包み込んでいる。


「あ~、」

悲しみに支配されていた譲治の心に海の癒やしが染み込んできた。


譲治の順番を迎え、勢いよく海に潜った。


フリーダイビング。自分の身体と体力だけで水中に潜った距離を競う競技である。

3年前の大会では、譲治は記録を狙えるレベルの選手であったが、今はその日の譲治とは比べられるものではない。


「ジョージはこの場に居るべきではない」

大会主催者に問われたカインはキッパリ答えた。


そうしている間にも、譲治は勢いよく潜り続けた。


『苦しい』


体が自分物とはいえ思えなかった。肺も筋肉もそうだが、体脂肪の増加が譲治を苦しめていた。

しかし、まだ、諦めるわけにはいかないのだ。

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