その日は自分の祝事だった。けれど何の祝事か、それはまったく覚えがなく。ただ妻に呼ばれて玄関へゆくと、そこには「作文讀」と名乗る男が祝いを述べており。祝事という約束事に操られでもしたかのように家へと招き入れてしまった男は、果たして、何者だったのか。「作文讀」とはどういうものか。何も分からぬ、ぼんやりとしつつ、どこか不吉な夢のような一幕。