第46話

立ち上がった若葉は両手を広げた。



「他に何も持ってない」


「ポケットの中は?」



銃口をこちらに向けたままのヨシキに促されて、若葉はスカートのポケットを引き出した。



「…何もない」


「じゃあアイツの居場所は?」


「知らない」


「嘘だな」


「嘘じゃない!本当よ!今日だって会うのが最後だって言われたの!」



叫ぶ若葉の耳元に届く、外の世界のBGM。

他の店はまだやっているのだろうか。深夜とは思えない賑やかな雰囲気がまるで別の世界のもののように聞こえる。

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