第39話

タカオだったら褒めてやる。

女より早く帰ってきた足の速さと、俺を気遣って差し入れ買った事に。



「…あ…」



しかしドアを開いてヨシキの目の前に現れたのは、あの野暮ったい女だった。



女は予想だにしない訪問者―しかも自分の空間に我が物顔で座る男―に目を見開いて立ち尽くしていた。


ヨシキは声をかける前に女を瞬間的に観察した。

右手にコンビニ袋。

左手にはジュエリーボックス。


本来の獲物は逃したけれど、別の獲物が見つかったヨシキの目が獰猛な眼差しをそれに向けた。



「長野若葉だな?」

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