AM1:53

第38話

『中は何もないです』



タカオからのメールを確認するとヨシキはスマホをしまった。


女の帰りが遅い、と感じた。まさか荷物を捨ててどこかに行ったのかと思ったが、女はスマホも財布も鍵も残している。


それすらも要らないのか?いやそんなわけがない。女はいつだって現実的だ。


苛立つヨシキは煙草を咥えた。しかし火をつけるのを躊躇った。自分が取ってある個室から煙草の煙が見えたらさすがに女も不審に思うだろう。


クソっとヨシキは髪をかいた。

ずっと続くもどかしい感情が欲求不満となって、どろどろにヨシキを支配していく。



その時、ドアの向こうからコンビニ袋を鳴らす音が聞こえた。

明らかに“いま帰ってきました”というような音にヨシキが身構える。

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