第35話

おそらくこの中に何かが入ってたんだろう。

その何かはメモに書かれた場所を示しているのだろう。


しかし何が?…とティラノザウルスを握り締めた瞬間、内部に不自然に固いものを感じた。


ティラノザウルスの背中を開いてみても、肉厚な綿に阻まれてよく見えない。


思いきって完全にティラノザウルスを引き裂くと、そこに三桁の番号が書かれたタグが入っていた。



「それって…」


「南口のコインロッカーだ。女はそこに行ってる」


「でもどうして番号のタグだけが残ってるんですかね?」


「さあな。外れちまったんじゃねえか?女はきっと気づいてないから手当たりしだい探してる筈だ」


「どうします?」


「もう急ぐ事ないな。タカオ。南口のコインロッカーでこの番号のドアが開いてるか確認してくれ」


「ヨシキさんは?」


「女が戻ってくるのをここで待ってる」

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