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第20話
振りぬいた右のストレートは相手の頬にクリーンヒットした。
目の前の敵の戦意喪失を目の当たりにして安堵したのもつかの間、背後にゾクリとする殺気を感じる。
すかさず体をよじりながら振り返り、蹴りを繰り出す。
でたらめに仕掛けた攻撃は幸いな事に背後から襲いかかろうとしていた敵に命中し、ヨシキは難を逃れた。
「タカオ。無事か?」
「え、ええ…。まあ」
無事なはずである。
タカオは早々に戦線離脱し、部屋の片隅でヨシキの八面六臂の活躍を見ていただけだ。
ヨシキは深いため息をつくとラッキーストライクを取り出して咥えた。
吸い込んだ煙に鉄を味を感じるのは、おそらく殴られたときに唇の裏が切れたから。
下唇を親指で抑えると不快な痺れが走りヨシキは「いってえな」と呟いた。
唇だけでない。顔も、手も、膝も、これをもう一度やれと言われたら無理だと即答するほどボロボロだった。
ヨシキは数回煙草を含み火照った体を落ち着けると、床に転がっているうちのひとりの前にしゃがみこんだ。
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