第19話

みるみるうちにティラノザウルスは二つに割れていく。


そしてその中から鍵が出てきた。


目を見開いた若葉はそっと鍵を取り出す。


それは住宅のものというよりは何かの設備の鍵のようだった。

例えば、コインロッカーのような。


若葉はもう一度、抜け殻になったティラノザウルスの中身をのぞいた。


そこには折りたたまれた小さなメモがあり、取り出すと最寄り駅の名前と『南口』とだけ書いてあった。



若葉の好奇心が一気に振り切れると同時に、あらゆる勘が研ぎ澄まされていった。



きっと駅の南口のコインロッカーに何かが入っている。



いてもたってもいられなくなった若葉は、荷物を置き去りにしたまま個室を出た。

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