第11話
「だいたいこんな野暮用…俺らの仕事じゃねえだろうが」
「そうなんですけどね。仕方ないです」
「獲物が出てきたらさっさと片付けるぞ」
ヨシキはいっそう強く目を光らせて通りを見た。
ここに張り込んで一時間。
いっこうに姿を現さないターゲットに最早ここに居る意味すら見失いそうになる。
しかし放棄するわけにもいかず、結局ヨシキのスーツのポケットに入っている煙草の本数ばかりが減っていく。
もう空に近くなったラッキーストライクを手に取ると、唇に咥えた。
その時だった。
背後から重いドアが開く音とともに「お疲れ様でーす」という間延びする声が聞こえてきた。
ふたりはいっせいに振り返り、路地裏の先を見つめる。
埃と油と排気にまみれた鬱蒼とした細い路地に、数人の影が浮かび上がった。
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