PM11:22
第10話
チッと舌打ちをしたヨシキは、ビルとビルの狭間に小さく縁取られた夜空を見上げた。
まったく。とんだ貧乏くじだ。
普段だったら今頃家に帰って、録り溜めしているドラマを身ながら優雅に晩酌しているのに。
今度は大きなため息を吐いたヨシキはビル影から顔を出し、繁華街の通りを盗み見た。
週末も手伝って通りはかなり賑わっている。
揃いもそろってアルコールで頬を染めて浮かれ気分で歩く通行人に、ヨシキは飛び出したと同時に蹴り倒したい嫉妬を覚えた。
「ヨシキさん。顔、顔」
あまりにも殺気立つヨシキに、背後からタカオが苦笑交じりにいさめてくる。
しかしヨシキは振り返りはしたものの、瞬間的に人を殺せそうな眼差しを保ったままにしている。
「さすがに怪しいですよ」
「誰の顔に文句つけてやがんだ」
殺気みなぎる目にタカオは「まあまあ」とぎこちなく笑った。
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