第6話
「ショーが終われば戻ってくるよ」
「その前にもう出なきゃいけないからさ」
「え?もう?まだワンセット終わってないよ?」
「いいんだ。用事があるし」
「そうなんだ」
寂しそうな客の瞳に触発されて若葉も去りがたい気持ちになってくる。
ショーの為に行かなければいけないのに、若葉は腰をまた椅子に降ろした。
「踊ってるところを少し見たら帰るよ」
「うん」
「今日もきっと上手なんだろうね」
「踊りだけは自信があるからね」
肘をテーブルについた若葉は得意げに顔を前に突き出す。
二重の大きな目はまどろんでいるようにも見えて、彼女が果たしてやる気があるのかどうか分かりかねた。
水着に負けないくらい白い肌は艶めいてまるで真珠のよう。
髪を派手に染めるわけでもなく、濃いメイクをしているわけでもない若葉は、年齢同様周りの空気から浮いていた。
清純というよりは子供っぽくて、妖艶というよりは野暮ったい。
そんな彼女がこんな店で働いてポールダンスを踊るなんて、誰しも驚く事実だった。
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