第4話

その気持ちに心臓がドキドキ高鳴る。


気が遠のく程の高さにワクワクする。



この高低差なら思う存分飛ぶ事を楽しめる。


飛びたい。


飛んでみたい。


いや。


飛ばなきゃいけない。



いっそう強い風が吹き上げた時、私はゆっくりと目を瞑った。



さよなら……じゃない。


そんな言葉言えない。


しいて言葉を残すなら『いってきます』。



これから私を迎えてくれる世界はきっとキラキラ輝いてる。


都会の夜景?


田舎の星空?


南の島の太陽を反射させる海の水面?


海沿いに打ち上げられる花火?


金箔が施された建造物?



ううん。違う。



それは今まで見た事の無いくらい眩しくて、穏やかで、何も無い、虚しい所。



私が恋い焦がれる、辿り着きたい場所。



風に体を委ねながら閉じた瞼で天を仰ぐ。



ゆらりと体が揺れて飛翔の予感を全身で感じた。



……だけど……。




「飛んじゃいなよ?」




突然聞こえてきた聞こえる筈の無い声にハッと瞼を開けて、真っ青な空を見た。

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