第4話

この時間の訪問者に驚いたけど、それよりサイードの動物的な聴覚にも驚かされる。


ちょっと警戒しながら椅子から腰を浮かせたら、それを手で制したサイードが立ち上がって扉に向かった。



「こんばんは!キティさん!僕はグラナダの市内に住むマリオと言います!お噂を聞いてやってまいりました!」



サイードが扉を開けるより前に、閉められたままの扉の向こうから陽気な自己紹介が聞こえてくる。


サイードが怪訝な顔して振り返ってきた。


私は首を横に振った。


マリオなんていう人、知らない。



「お近づきの印にとチーズをたくさん持ってきました!是非、扉を開けていただけませんか?」


「残念だったな。キティは男だ」



呆れ顔で扉越しに答えたサイードに姿の見えないマリオさんはえっと驚く。

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