第6話

それはそれは楽しい歓迎会だった。



様々な人たちが集まれば話題も豊富。笑いが絶えなくて最初に感じた不安が杞憂に終わった。


私は一向に酔いが回らないウーロン茶を飲みながら今から始まる4年間に夢を膨らませていた。



ミワはデザイン科の2年生。よっちゃんは彫刻科の2年生。



私だけ残して3人は現役合格した訳で。

と、いう事は私は奇(く)しくも“3人の天才”に囲まれた訳で。


天才の中に紛れこんだ凡人はそれはそれは苦労が絶えない。


なにせみんな考え方が微妙にずれてる。

それが天才たる所以なのかもしれないけど、とにかくトリッキーだから困る。


ミワは生ビールのジョッキにタバスコを入れて飲んでる。

「これおいしいのよ」なんて言いながら。


シュンはお酒が弱いくせガブガブ飲むし。

その所為で管を巻いて困った。


よっちゃんは……唯一凡人の感覚に近いけど、それは無駄口を叩かなくて害が無いだけ。

『早く帰りたい』っていうオーラをひしひし感じて、心の中でひっそり「がんばれ」って言ってあげた。



「そう言えば西口のマックでクウォーターパウンダーみっつ食べるって豪語してたのどいつだっけ?」


「ユウコでしょ?」


「違うよ!あれはシュンだよ!しかもミワも『よっつ食べる』って言ってたじゃん!」


「えー。覚えてないなぁ」

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