第4話

「そうかぁ?普通じゃん?」



耳たぶまで真っ赤になったシュンはオーバーに両手を広げながらケラケラ笑う。


美大の日本画科っていう特殊なジャンルに籍を置くシュンは、ひと際目を惹く。


少し伸びた髪を栗色に染めてパーマまで掛けてる。

服だってお洒落。パッと見、アパレルの店員に見える。


相当女の子にもてるんだろうな……なんて考えていたら、シュンは辺りを慎重な目付きで窺いながら私の耳に唇を寄せた。



「実は」


「うん」


「1週間前からミワと付き合い始めた」


「本当!?」



思わぬ告白に私の方が大きな声で驚いちゃって、シュンは慌てて人差し指を立てた。



「声がデカイって」


「ごめん。でもそれって本当?」


「マジマジ」


「嘘とかじゃない?私を騙そうって魂胆じゃない?」


「ドッキリでこんな事いわねーよ」



ジロジロと視線を投げてくるみんなにはぐらかすような笑みを見せから、私に偽りの無いとびきりの笑顔を見せてきた。


シュン、ミワの事好きだったんだ。


確かにミワとシュンって馬があったし、ふたりとも明るいし可愛いしカッコいいからお似合い。


「おめでとう」と言い掛けた唇をハタと止めた。


……よっちゃん、その事知ってるんだろうか?

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