第3話

彼とは予備校が同じで凄く仲が良かった。

現役合格なんて夢のまた夢な世界でシュンは“10年にひとりの逸材”ともてはやされて、期待を裏切らず受かった。


確かにシュンの描く絵は誰もが息をのむほど魅力的だった。



「もう。知らないよ?幹事さんがギブアップしないでよ」


「あー。大丈夫大丈夫。ミワとヨシキが来るから」


「え?ミワとよっちゃん来るの?だってあのふたり学部違うじゃん」


「ミワもヨシキも暇なんだよ」



へぇ、なんて生返事をしつつ胸がちょっと躍った。


私とシュンは予備校の同級生。でも同級生は私達だけじゃない。


ミワとよっちゃんも同じ予備校。そして同じ年。


もともと引っ込み思案な私にミワが声を掛けてくれて、明るい彼女に引っ張られる様にシュンとよっちゃんと仲が良くなった。



4人で予備校近くのマックでくだらないお喋りしたな。



なんて昔を懐かしみながらグラスを傾ける。ノンアルコールの酔えない飲み物だけど。


あの頃はみんな高校生で当たり前のように制服姿だった。

だけど1年ぶりの再会は私服で。


なんだか緊張してきた私はチラリとシュンを盗み見た。



「シュン」


「んあ?」


「なんか軽くなったね?」

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