第2話

総勢30人の輪の真ん中に立つのはシュン。


彼は大学の二年生で私からすれば言わば先輩。

だけど実は同じ年でもあったりする。


春から通う大学は美術大学。


かなりアカデミックな校風で本気で『芸術やりたい!』って人が多く集まる人気校。


当たり前のように倍率も高くて3浪、4浪は当たり前の世界。


だから私の隣に座った人はどう見ても人生の先輩だったし、向かいの女性は酸いも甘いも噛み締め過ぎてちょっと近寄りがたい。


シュンは日本画科に現役合格した奇跡の人だ。

そんな私も1浪で同じ日本画科に入れたのは、奇跡以上の何かが起こったとしか言いようが無い。


嬉しいけどこのあくの強い同級生達に囲まれて4年間を無事に過ごせるかが不安。


グラスを口に付けながらドキマギしていたら、歓迎会の幹事を務めてるシュンがニッコリ笑って隣りに座った。



「どんくさいユウコ~。おめでとう!」


「シュン酔ってるの?」


「そりゃ、幹事を仰せつかった身としては飲まなきゃやってらんないっしょ」


「今から始まりなのに」


「俺は午後5時から始まってた」



シュンは白い頬を真っ赤にさせながら中ジョッキをグイッと呷った。

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