第2話
関鼎(せきかなえ)会という暴力団は新宿に拠点を置く、いわば昔懐かしい任侠道(にんきょうどう)を重んじる組だった。
そのせいか最近流行りの新興暴力団と折り合いがつかず、常に標的にされている。
関鼎会は戦闘集団ではなかった。
温和な人間の集まりで、縄張りを優雅に歩いていれば暴力団としての役割のほぼ九割を済んでいると思い込んでいた。
違法薬物の取引は秋の夜風のように静かで物悲しい程度にしている。
わざわざ警視庁の暴力団対策本部が目を光らすまでも無く、どりらかといえば「まぁ、ヤクザの可愛いしのぎだから」と見逃すほどだ。
晋太郎は正式に組に入っている訳ではないが、さすがに一般人にまでも軽く見られている父親の組に歯ぎしりしていた。
「大体、親父が良い人過ぎるんだ。あんな奴にヤクザが勤まる筈もねぇ」
「じゃあシンは?シンなら勤まるの?」
歌舞伎町のキャバクラで水の味しかしない焼酎を飲みながら、晋太郎はまた笑う。
「ぜっんぜんダメだな。俺が頭になったら、あの組は潰れる」
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