第6話

「……なんでよ?」


『なんでもいいから』


「どうしてよ?」


『なんだよ?ナツは帰りたくないの?』


「当たり前じゃん」


『俺より酒を取るの?』



出た!!


『自分と向こうどっち取る?』質問!



そんな事を言われて精魂込めて「アナタ」と言うバカな人間はどこに居るんだろう?

ってか存在するんだろうか?


あたしは大きな溜め息をつきながら、



「お酒」



即答した。



『はぁ?』


「お酒。何が何でもお酒。間違いなくお酒」


『お前……』


「そういうの凄いめんどくさい。大体あたし誰かの所有物じゃないし」


『何言ってんの?ナツは俺の彼女じゃん?』


「あのさぁ…」



あたしは欄干にもたれ掛ると隣りのビルの外壁を見つめた。

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