第3話
ここ最近ビールばっかりだった所為か下っ腹が出てきた。
ヤバイぞヤバいぞと焦りつつやめられないビール。
二年前だったらいくらお酒を飲んでも太らなかったのに、年って言うのはどうも憎らしい。
お肌の曲がり角は、女の曲がり角。
そんな格言を心の中で呟きつつ『あっ、今あたしカッコいい』と意味も無くニヤニヤしてたら鞄の中で携帯が不意に鳴った。
「なに?誰?」
「んー。彼氏だ」
携帯を開いて何気なくそう言うと、みんながいっせいに色めき立つ。
いやいや、あたしに彼氏が居るの知ってんじゃんか。なのに今更何その新鮮なリアクション。
ちょっと恥ずかしいんだけど……。
「電話してきていい?」
「いいよぉ。でもうちらを捨てて彼氏のところへ行くのは無しね?」
なんだそりゃ、と肩を竦めつつ席を立った私は急いでトイレの脇にある非常階段への入口に隠れこんだ。
彼氏とは付き合って二ヶ月目。今がアツアツ。
社会人として立派にOLしてるあたしと違って彼氏は大学院に行っている。
そこに尊敬して出会って初日で交際スタート。
要は知り合った日にホテルに連れ……込まれた。と思う。
実際、どっちがその気になったかなんて良く覚えてない。
まあ、今が良ければきっかけなんて何でもアリ。
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