第2話

仕事終わりに同僚達と駆け込んだ駅前の居酒屋は、それはそれは繁盛していた。


大衆居酒屋にありがちな安っぽくて親父臭い雰囲気を払拭した、半個室の空間に落としたオレンジ色のライト。


おつまみだって最高。

いちいち可愛く盛り付けられてて、女心をくすぐってくる。



それでも最初の生ジョッキは譲れない。



一日の憂さを晴らす為に盛大に乾杯をすれば、後は二十代の中盤に差し掛かった女の性(さが)で愚痴大会。


今日の主任は化粧がケバイだとか、上の階の他の部に居る誰だれ君はカッコいいとか。


会話だけでストレス発散できる女はある意味お手軽な生き物なのかもしれない。



あたしは会話も良いけどお酒も大好き。



「そうだよねぇ」なんて殆ど心ここに非(あら)ずな相槌を打って、四杯目の生ビールを通りすがりの店員に注文した。

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