クマは残飯とか漁ってる個体だと肉が柔らかくなって美味い
「まったくもう……! どうしてこうトラブルしか呼び込まないのかしら、あなたは……!」
「悪かったと思ってるよ〜! でもしょうがないじゃん〜! お腹減ってたんだからさ〜!」
「コケー!」
咄嗟に飛び退いたおかげで、二人とも目立ったダメージは無さそうだ。となると、問題はどうやって逃げるかだろう。前世の知識によるとクマっていうのは恐ろしい程に素早く、かつ怪力で、耐久力にも優れているらしい。
それが異世界産のクマともなると……うん、どれくらい強化されてるのか考えたくもないな!
「どうしよどうしよどうしよー!」
「逃げるしかないでしょ」
「あんなのからどうやって逃げるのよ!?」
慌てふためくミカンとは対照的に、アイリスはこんな絶望的状況でも落ち着いている。
頼りになるなぁ。デビルボアを一撃で気絶させた時から薄々感じてたけど、やっぱかなりの実力者でしょ、この子。
「
「ウルルァッ!?」
アイリスが魔法を唱えると、森のヌシとの間に一瞬で巨大な氷の壁が出来上がる。
デビルボアの時も見たけど、シンプルに凄い魔法だよな。強度もかなり高いみたいだし、汎用性も充分だろう。
「ガァァアァァアアァッ!!!」
「っ……! やっぱりダメみたいね……!」
とか思ってたら、ヌシによる腕の一振りによって氷の壁は呆気なく粉砕された。細切れにされた氷の欠片が、宙に舞ってキラキラと輝いている。
ハハァ……なんか芸術的。
「コッケ!」
「あわわわ〜!」
って、現実逃避してる場合じゃねぇ! アイリスの魔法も通じないって、本格的にマズいんじゃないのか!?
「
あたふたして何も出来ないオレ達とは違って、アイリスは更なる魔法を唱えて森のヌシを足止めしている。
三つ連なって現れた氷の壁によって、双方の距離が一時的に離れる。
「ミカン! アレ使いなさい!」
「えぇっ!? む、無理だよ! 自分の意思じゃ全然制御できないし……下手したらアイリスも殺しちゃう!」
「コ!?」
なんか突然物騒な話が始まりましたが?
もしかしてアレか、ミカンちゃんって見た目にそぐわず凄まじい力を持ってるパターンのキャラか。
しかも会話の内容から察するに、敵味方問わず攻撃する暴走系とみた。うむむぅ……これはどうしたものか。
「全滅するよりマシでしょ!」
「アイリスが死んじゃったら意味ないじゃん!」
「死体が残ってれば蘇生できるのよ! アイツに殺されて捕食されたら、それも叶わなくなる!」
「アタシのスキルも似たようなものだよ! 今めっちゃお腹空いてるし、アイリスのこと食べちゃうかもしれないよ!?」
そして議論は白熱する──うん、お互いがお互いのためを想って譲らない展開ですねクォレは。
というか……まわりを見ようか、君たち。脅威がすぐそこまで迫っているぞ。
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