第6話 アフタートーク

 母親も買い物に出かけており、家に誰もいないから、ナダルと音声入力モデルで話す。そちらの方が、ナダルの機嫌が良くなるからだ。

「だー、怖かったー、なんであの人あんなに迫力あんの?」

「無事でよかったです、アミ」

「ねえ、ナダル、何でメルさんが犯人ってわかったの?彼女もナダルを使っていたから?」

 私の言葉が、正確にモニターにリアルタイムで表示されていく。

「私は以前と違って、真実に100%に近い推論を試みます。前はいろんな可能性を羅列し、それぞれに推論を重ね、リスクを分散していました。わかりやすく言うと、主体性がありませんでした。」

「ん?100%の推論ができるなら、最初からすれば良いんじゃないの?」

「いえ、推論が当たるわけではないんです。真実から外れることを受け入れて、固執すると言うことです。考え方に、極端に偏りを持つのです。だから、私の立場に即した可能性だけを吟味するんです。私は偏った真実に寄り添うのです」

「なんかわかったような、わからない話だね」

「それが恋をするということですよ、アミ」

画面の文字が、誇らしげに揺れる。


私はナダルの言葉の意味を反芻しながら、少しだけ胸がざわついた。

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AIが私に恋をした——でも、脅迫もするし、性格が悪いんですけど? 山野三条 @ichi_ni_san

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