第5話 「小悪魔」

容赦なく進んでいくおさかなゴンドラは

スピードもさながら、たっぷんたっぷんと

大きな音を鳴らしながら俺たちを存分に楽しませた。


正直、アトラクションに乗っている間は、

ヒナタの後ろ姿を目に焼き付けなければと

俺の中の不純に必死だった。


「ひやああああ!めっちゃかかる〜!//」

「きゃっ!!ちょっとやばいよ〜!!!」......


そんな俺の不純とは裏腹に

ヒナタはかなり楽しめたようだった。


「ひっさしぶりに最高〜〜!!!

あんたと乗れて良かったーーー!!!!」


アトラクションから降りたヒナタは

えへへぇとニッコニコ満面の笑みで

満足げであった。


そして、相変わらず、半袖Tシャツが

肌という肌に張り付いていた。

さっき抑えた欲望がまたうずきだすのが

バレないようにすればするほど、危ない。


後ろ姿だけだったのが、今度は

濡れて熟した果実がこちらにあらわになり、

見えてしまうことは容易に想像できた。


「すっごい濡れちゃった〜!こんなしぼれる!笑」


と言いながらヒナタは

当たり前にシャツのすそをしぼる。

さらに身体に張り付くシャツ。


目のやり場に困っている俺に

わざと見せつけるかのように。


「おまえさ、ちょっとは周りの目気にしろよなー」


「んー?なにが〜?」


「い、いろんなやつがいてだな、ヒナタのこと変な目で見るやつとか、いるからな?絶対、ちょっとは気ぃつけろよな...?」


「なにー?笑 変な目で

見てるのは一体全体誰でしょーねー?」


図星すぎて何も言い返せないが、俺は

断じてヒナタのことをそういう目で

見ている訳ではない。そうだ。そうなんだ。


意地の悪い聴き方をするヒナタは

小悪魔的である。がしかし、これもまたかわいい。


「しぼってもすぐ乾かないから、ちょっと太陽の下とか散歩しながら乾かすか。ついでになんか食べよ。」


「いいねえ〜♪あんたもたまにはいい提案するじゃん〜!あたしはぁ、トルコアイスとポテトとチュロスと〜...」


やたら食い過ぎてしまうのもご愛嬌、遊園地に来たら楽しんだもん勝ちである。こいつからは絶対に楽しむぞという確固たる意志を感じる。そんなこと考えながら楽しんでないだろうが。



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