第42話 角煮丼は美味しい


 「こってり角煮が食べたい!」

つい角煮が食べたくて叫んでしまった。……自分の部屋で良かった。


 おしゃれな食べ物もいいけど、がっつり目のお肉のおかずとご飯が食べたくなった。

「よし。作ろう」

 まだ朝の早い時間。目が覚めて、こってり醤油味のおかずを思い浮かべた。

ちょうど昨日、神父さんからなぜか豚バラブロックのお肉をもらったので、作れるだろう。醤油もあるし。よだれが出そうになった。


 「豚バラ肉を少し麵棒で叩いて、形を整えて……と」

こうすると柔らかくなる。下準備でより美味しくなる。

 「ちょっと大きめに切って、片栗粉を薄くつける」

パサつき防止になる。そうしたらフライパンに油をひいて、。焼く。


 豚バラ肉とネギを水で下茹でして、煮立ったら弱火で一時間ほど鍋で煮る。

その間に他で、ゆで卵を作っておく。ニンジンや玉ねぎを一緒に煮ると野菜も摂れる。

 ☆肉とネギで煮た汁は別の料理に使うので残しておく。


 別の鍋に水と酒、砂糖と肉を入れて煮る。煮立ったら醤油とすりおろしたショウガを入れて、落とし蓋と鍋のふたをして弱火で約一時間煮る。ゆで卵を後から入れて一緒に煮る。

お肉が柔らかくなったら出来上がり!


 「ああ……。このお肉と醤油の香り……たまらない!」

大量に作ったので、お総菜屋さんのおかずとお食事処で出せるだろう。お総菜屋でご飯のおかずとして販売して、お食事処で角煮丼とかどうだろう?

 「お腹が空いてきた」

 起きて身支度してそのまま角煮を作っていた。お腹が鳴ってしまった。


 味見係……じゃないけど意見を聞きたくて、父と母に角煮丼を朝から食べてもらった。


 「えっ!? なんて柔らかい! これなら子供からお年寄りまで食べられるわよ!」

朝から母へ朝の食事としては重いかなと思ったけれど、美味しそうに食べてくれていた。

 「これは! お肉とゆで卵の組み合わせがいいな! お肉のとろりとした柔らかい食感がたまらない!」

 父はガツガツと角煮丼を食べていた。良かった。二人の口に合ったようだ。


 「野菜も一緒に煮込んだから、柔らかいよ」

僕もお腹が空いていたので角煮丼を食べた。

 「ふわっ!?」

 口に入れた途端、かたまり肉がほどけて脂身がトロリと甘く溶けていく……。甘じょっぱい醤油味に少しショウガがきいてて……! いつまでも口の中に残しておきたい美味しさだ!


 ご飯も一緒に口の中へ。角煮と野菜の美味しさの溶け込んだ煮汁が、ご飯にかかってしみ込んで二重の美味しさだった。

 パクパクと食べる勢いがとまらなかった。

 「あら? ゆで卵を一緒に煮たの?」

ゆで卵はこの世界でも食べるけど、ゆで卵を殻をむいてお肉と一緒に煮ることはないようだった。


 煮た卵を半分に切って角煮丼に添えてみた。見た目もいいし、何より美味しい。

「まあ! とても美味しいのね!」

 朝から食べてもらえるかな? と心配したのがウソのように、二人のお皿から角煮丼がなくなった。完食してくれた。

 「旨かったぞ! 朝から元気が出て仕事が、はかどりそうだ!」

 父も大満足そうに美味しいと言ってもらえた。


 「良かった! お総菜屋さんと、お食事処で角煮を出すよ」

僕も完食して、ハリマさんから購入した緑茶を食後に飲んだ。

 「これは皆、好きな味だわ。また名物が増えるわね!」

 母もそう言いながら緑茶を飲んだ。


 僕はお茶の葉を急須でお湯を淹れてそのまま飲むけど、父と母は緑茶にお砂糖を入れて甘くして飲んでる。確かに紅茶などはお砂糖など入れて飲むけど……。

 最初、父と母が緑茶に砂糖を入れて飲んだのを見たときは驚いた。転生前で、外国の人は緑茶にお砂糖を入れて飲むのを見たことあるけど。


 「緑茶を甘くしてレモンを入れて出したら、美味しいかな?」

まだこの村の人は緑茶を飲む習慣がない。父と母は僕がたまたま飲んでいたから、一緒に飲んだけど抵抗なく美味しく飲んでいるならば、村の人用に甘くして出してみようかなと思った。

 

「あらあら、美味しそうね」

「さっぱり味でいいんじゃないか?」

 父と母の反応が良かったので、早速お食事処で出してみようと考えた。ヘルシーに砂糖を抜いてもいいかと思う。


 角煮丼を完食した後は片付けをして、お総菜屋さんに並べるおかずを追加して作った。定番となった、から揚げは村の皆さんや冒険者たち、村の安全を守ってくれてる騎士さん達にも好評だった。


 「じゃあ母さんお総菜屋さんの店番、よろしくね!」

「まかせなさい!」

 母とそんなやり取りをして、家を出た。


 僕が育てているハーブ畑に来た。ハーブは増えてたくさんの種類がそろっている。

「ハーブは料理や飲み物、香水やポプリなど色々なものに使えるからいい」

 あまり水をやりすぎないのが良いらしい。試行錯誤しながら育ててきた。


 「マオ、お早う! ハーブをもらいに来たよ!」

幼馴染のベルはベジタブルショップをやっていて、野菜とお花、そしてハーブを使った野菜のサラダや料理を僕と一緒に考えている。

 野菜のことはベルの方が詳しいから教えてもらっている。


 「お早う、ベル。どのハーブが良い?」

その日に採れた野菜や、考えた料理によって使うハーブを考える。

「そうねえ……。良いトマトが採れたので、バジルを使おうかしら」 

 バジルはトマトと相性がいい。

「美味しいチーズを手に入れたから、サラダにするわ」

 

「美味しそうだね」


 僕はチーズと聞いてまた何か新しい料理ができないか考えた。

 

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