この作品は、音楽を軸に若者たちの青春と成長を描いた青春群像劇です。
主人公の近藤千尋(サウロ)が率いるバンドは、メンバーの脱退という危機を乗り越え、新たなギタリスト・糸ノ瀬姫星(姫)を迎え入れることで再出発します。姫の加入は、バンドに新しい風を吹き込むと同時に、様々な変化の始まりとなります。
サウロ、姫、ベーシストの世永利蓮弥、ドラマーの瑠璃蒼馬、そしてマネージャーの秋山雄太と、多彩な登場人物たちの視点から語られる複層的な物語。彼らはそれぞれの過去を持ち、悩みや葛藤を抱えていますが、「音楽」という共通項を通じて絆を深めていきます。
登場人物たちの生き生きとした会話と、音楽への情熱が伝わってくる描写。サウロと姫の微妙な距離感、蓮弥と蒼馬の関係性、雄太の献身的なサポートなど、人間関係の機微が繊細に描かれています。バンド活動を通して彼らが直面する挫折や喜び、成長の瞬間は、読者の心に強く響きます。楽器を演奏する喜び、ライブでの高揚感、仲間との絆など、音楽を愛する者にとって共感できる要素が随所に散りばめられています。
バンド活動を通じた若者たちの自己発見と成長、そして人と人との繋がりの大切さ。音楽を通して響きあう心の物語に、ぜひ引き込まれてください。