第3話 花びらの行方
桜の花びらが舞う日が増え、図書室の窓から見える校庭の景色は少しずつ変わり始めていた。
満開だった桜は葉桜に近づき、地面に淡いピンクの絨毯を作り出している。
その様子を見つめながら、美咲先輩は静かに言葉を紡いだ。
「桜の花びらが舞うのって、何だか不思議だよね。」
「どうしてですか?」
「風に乗って、どこまでも行けそうで。見ていると、遠い場所から来たみたいな気がする。」
彼女の言葉に、僕はふと桜の花びらが校庭を越えてどこかへ消えていく光景を思い浮かべた。
「そうですね。なんだか自由で、どこにでも行ける感じがします。」
「うん、そうだね。」
彼女は微笑みながら、一枚の花びらを指先でそっと撫でた。
「ハネくん、桜の季節って短いよね。」
その言葉に僕は頷いた。
「だからこそ、きっとみんな心に残るんですよね。」
その言葉に、彼女は少し目を細めて微笑んだ。
「そうかもね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます