第3話 花びらの行方

桜の花びらが舞う日が増え、図書室の窓から見える校庭の景色は少しずつ変わり始めていた。

満開だった桜は葉桜に近づき、地面に淡いピンクの絨毯を作り出している。

その様子を見つめながら、美咲先輩は静かに言葉を紡いだ。


「桜の花びらが舞うのって、何だか不思議だよね。」

「どうしてですか?」


「風に乗って、どこまでも行けそうで。見ていると、遠い場所から来たみたいな気がする。」


彼女の言葉に、僕はふと桜の花びらが校庭を越えてどこかへ消えていく光景を思い浮かべた。

「そうですね。なんだか自由で、どこにでも行ける感じがします。」


「うん、そうだね。」

彼女は微笑みながら、一枚の花びらを指先でそっと撫でた。


「ハネくん、桜の季節って短いよね。」

その言葉に僕は頷いた。


「だからこそ、きっとみんな心に残るんですよね。」


その言葉に、彼女は少し目を細めて微笑んだ。

「そうかもね。」

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