第五話 やっちゃ場の仲間

いつも一緒の二人がいる。

コロン&ピーナは楽しいカップル。


笑うことが好き!笑顔が一番のスタイル。

元気エネルギーは全てを癒す。


「太陽みたいな存在になりたい」


って、いつもピーナは思ってる。

それは素敵なこと、毎日そう思っていたい。


そんな二人は…

今日も何処かに…

行ってみたいのです。


車はイカしているオープンカー。

名前は付けてないけど、いずれ命名する予定。


とりあえず、今で言うアキバに車は向かった。


のちに世界的に有名になったアニメの聖地。山手線と中央線がクロスしている所は、かつて「やっちゃ場(神田青果市場)」と呼ばれていた。神田川がいい役割を演じたお陰で江戸時代から約270年延々と菜市として発展してきたエリアだ。



「ここって雰囲気いいわね」



ピーナは辺りを見渡していた。忙しく代車を引く音がまわりに響いている。鮮度が命の商品を扱う為、どうしても荒々しい言葉使いになってしまう。葉物、根菜類、果物、加工品、金物屋、雑貨商 市場特有の世界観を醸しだしている。



「でも、みんなからは見えないから気が楽ね」



シールドを張り巡らせている二人を、荒い波動の人間たちは見ることが出来ないからね。でもたまに見ることが出来る奴らもいる…



「お二人さん!」


「こんなところで何してんの?」



鉄骨小屋の方から聞こえてきた。


「えっ!」


「誰か見てるわ」


ピーナは2階の方を指差した。


何か動いた。

気配を消しているけど二人いる。


ずーっと見ていたら…ボンネットに既にいた。



「おい、こっちだよ」


「ひえ〜っ」







コロンとピーナは驚いたのも束の間…見られてしまった事に危機感を募らせた。ほどなくして記憶消去ビームを目の前の二人に浴びせ、瞬時に時間を3分戻した。そしてコロンもピーナもネコに変身していた。これでひと安心だ!







「お前らどこから来たんだ?」


「この辺では見慣れない顔だな」







ちょっと薄汚いネコが言ってきた。続いて…



「お前らもアメ横から来たんか?」


「そのヘンテコな乗り物はなんじゃい?」



ネズミみたいなネコが、コッチを指差していた。コロンは面倒臭いので、二人の心の中に、自分たちの「上澄データ」だけ入れ込んだ! 



(ビィーム!)

見えない光線が発射された



「俺はムン(実はコロン)、隣はピナ(実はピーナ)」



「よろしくね😀」



前の二人は昔から知っているような態度で…


「よーう、久々だなあ」


やっちゃ場のサダちゃんとチューやんは、ぼんやりとした記憶の中で、何となく、うる覚えの二人に挨拶した。


「そんな名前だったか?」



「やっちゃ場は活気があってイイね」



二人には直接関係無いだろうけど、コロンは当たり障りのない問い掛けをした。



「ああ〜 いつもだよ」


「最近は入ってくる荷物が多くて、狭くてしょうがないよ」



確かにここまで詰め込んだら手狭だろうな。コロン(ムン)はますます拡大する庶民の台所を見てそう思った。意外だったなぁ。なんで彼らは我々のことを見ることが出来たんだろう?不思議だ。ロボットならわかるけど、生身のネコなのに…。




「また来るからさ!」


「今度、友達紹介してくれよ!」




再び問題無い問い掛けしたつもりだったが…



「了解。みんなに言っておくよ」





もう来ることは無いかもしれないが、妙に惹かれる奴らだったな。もしかしたら色々と知っているかもしれないな。今度来る時は変身してこよう。


ここは神田川が近いから吹く風が何処となく爽やかだ。



二人はやっちゃ場を後にした。

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